直近の税制改正が親族外事業承継に与える影響と今後の展望

マネジメントのための経営財務情報『拝啓社長殿』

目次

日本の中小企業における経営者は60歳以上が過半数を占めており、後継者不在率は50%を超えています(「2025年版 中小企業白書」より)。事業承継の選択肢のうち、近年増加傾向にあるM&Aを中心とする親族外事業承継のトレンドを確認するとともに、直近の税制改正が与える影響について、その展望を示します。

親族外事業承継における直近のトレンド

中小企業基盤整備機構が公表している「令和7年度 事業承継・引継ぎ支援センターの実績について」によると、2025年度の第三者承継の成約件数は過去最多の2,265件と、センターの開設以来右肩上がりの状況が継続しています。

これは、「経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる骨太の方針)」にも継続的に記載されているように、M&Aを中心とする親族外事業承継が「従業員の雇用を守るための選択肢」「中小企業の規模拡大・存続に向けた選択肢」として認知されつつある状況がうかがえます。

事業承継への影響が想定される税制改正

今後適用される以下の税制改正等は、事業承継におけるM&Aなどの検討プロセスや実行時期に大きな影響を与えることが想定されます。

①  ミニマムタックスの適用拡大(2027年1月1日より適用)

株式譲渡益を含む高額所得者に対する課税強化として、特別控除額の引下げ(3.3億円から1.65億円)と最低税率の引上げ(22.5%から30%)が行われます。

②  事業承継税制の特例措置における特例承継計画の提出期限到来(2027年9月30日まで)

非上場株式に係る贈与税・相続税が全額猶予される特例措置に関する事前手続「特例承継計画」の提出期限が2027年9月30日に到来します(贈与・相続の実行期限は2027年12月31日)。

③  非上場株式に係る評価方法の見直し(2028年以降の適用が見込まれる)

現在、国税庁の有識者会議において、非上場株式の相続税評価方法の見直し(残余利益方式の採用や類似業種比準方式の廃止など)が議論されています。

親族外事業承継における今後の展望

レコフデータによると、2026年1-6月のM&A件数は2,647件と過去最多を更新しました。これは経営者の高齢化に加え、2027年からのミニマムタックスの適用拡大や事業承継税制の期限を見据えた駆け込みの動きが影響していると推察されます。さらに、今後非上場株式の評価方法が見直された場合、自社株式の評価上昇により親族内承継時の税負担の増加が想定されるケースにおいては、中小企業オーナーにとってM&Aが引き続き有力な選択肢となり得ます。こうした背景から、2027年以降もM&Aを中心とする第三者への親族外事業承継の増加トレンドは堅調に推移すると考えられます。

お見逃しなく!

中小企業向けの支援策として、「事業承継・M&A補助金」が整備されています。M&A時の専門家費用(仲介手数料、DD費用等)に対して買手:最大600万~2,000万円(100億円企業要件を満たす場合)、売手:最大800万円、M&A後の経営統合(PMI)に係る費用に対しては最大150万~1,000万円(一定の賃上げを実施する場合)が補助されます。要件に該当する場合には、M&A検討時に事前申請による活用を検討することが有用です。

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