日本公認会計士協会より、「監査・保証実務委員会実務指針第84号『中間財務諸表と年度財務諸表との会計処理の首尾一貫性』の公表について」が公表されました。企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」等の適用に対応するため、所要の見直しが行われたものです。
なお、本実務指針は2011年4月1日以後開始連結会計年度及び事業年度から適用されます。また、本実務指針の適用により、監査第一委員会報告第36号「中間財務諸表と年度財務諸表との会計処理の首尾一貫性」は廃止されます。
(主な内容)
遡及適用
自発的に会計方針の変更を下期に行う場合、会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区別することが困難な場合を除き、企業会計基準第24号等に基づいて過去の期間に新たな会計方針を遡及適用する。
下期に変更した会計方針を上期にも適用することが実務上不可能なときは、翌年度の期首時点で会計方針の変更を行い、当該期首以前の実行可能な最も古い日から将来にわたり新たな会計方針を適用することになると考えられる。
前事業年度と当中間期において採用する会計方針は同一であるが、当事業年度で採用する会計方針を変更する場合
1. 正当な理由
年度において会計方針を変更することの正当な理由に加え、中間決算時点において、変更後の方法によらなかったことについての正当な理由が存在しなければならない。
2. 年度の財務諸表における注記
以下の事項を注記する。
- 財務諸表等規則第8条の3の2に規定する事項
- 当中間期において当事業年度に採用した会計方針を採用しなかった旨
- 当中間期において当事業年度に採用した会計方針を採用しなかった正当な理由
- 当中間期で当事業年度と同一の会計方針を採用した場合の当中間財務諸表の主な科目に対する影響額(比較情報に係る影響額は除く)
- 当中間会計期間に係る一株当たり情報に対する影響額(比較情報に係る影響額は除く) ただし、会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区別することが困難な場合には、中間財務諸表の主な項目及び一株当たり情報に対する影響額の注記は要しない。
3. 翌中間財務諸表における注記
以下の事項を注記する。
前事業年度において採用した会計方針を当中間期で変更し、さらに、当事業年度で前事業年度において採用した会計方針に戻す場合
1. 正当な理由
中間期において会計方針を変更することの正当な理由に加え、年度においてこれをもとの会計方針に戻すことの正当な理由が存在しなければならない。ただし、このようなケースは極めて特殊な合理的な事情が存在する場合に限られると思われる。
2. 年度の財務諸表における注記
以下の事項を注記する。
- 当中間期において前事業年度に採用した会計方針を変更し、当事業年度に当該変更を取りやめた旨
- 当中間期において前事業年度に採用した会計方針を変更し、当事業年度に当該変更を取りやめた正当な理由
- 当中間期で当該変更がなかった場合の当中間財務諸表の主な科目に対する影響額(比較情報に係る影響額は除く)
- 当中間会計期間に係る一株当たり情報に対する影響額(比較情報に係る影響額は除く) ただし、会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区別することが困難な場合には、中間財務諸表の主な項目及び一株当たり情報に対する影響額の注記は要しない。
ただし、会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区別することが困難な場合には、中間財務諸表の主な項目及び一株当たり情報に対する影響額の注記は要しない。
3. 翌中間財務諸表における注記
以下の事項を注記する。
- 中間財務諸表等規則第5条の2第3項に規定する事項と同様の内容
中間連結財務諸表と年度連結財務諸表の首尾一貫性
個別の中間財務諸表と連結財務諸表の首尾一貫性における取扱いを準用する。
経過措置
本実務指針の適用初年度の中間(連結)財務諸表においては、上記の「翌中間財務諸表における注記」事項に代えて、監査第一委員会報告第36号で求められていた注記事項を記載する。
日本公認会計士協会ホームページ