企業会計基準委員会より、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」が公表されました。
本会計基準では、会計基準の国際的なコンバージェンスの取組みの一環として、会計上の変更や誤謬の訂正が行われた場合における遡及処理の取扱いが定められました。
なお、本会計基準及び適用指針は、2011年4月1日以後開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更及び過去の誤謬の訂正から適用されます。
(主な内容)
概要
会計上の変更とは、会計方針の変更、表示方法の変更及び会計上の見積りの変更をいい、過去の誤謬の訂正は会計上の変更には該当しない。
それぞれの会計上の原則的な取扱いは、以下のとおりである。
区分 | 会計上の原則的な取扱い |
会計上の変更 |
|
会計方針の変更 |
遡及処理する(遡及適用) |
表示方法の変更 |
遡及処理する(財務諸表の組替え) |
会計上の見積りの変更 |
遡及処理しない(将来にわたり会計処理) |
過去の誤謬の訂正 |
遡及処理する(修正再表示) |
会計方針の変更
1. 原則的な取扱い
累積的影響額は表示する財務諸表のうち最も古い期間の期首の資産、負債及び純資産の額に反映させ、表示する過去の財務諸表には新たな会計方針を遡及適用する。
ただし、会計基準等の変更に伴う会計方針の変更であって、会計基準等に特定の経過的な取扱いが定められている場合には、当該取扱いに従う。
2. 原則的な取扱いが実務上不可能な場合の取扱い
期首時点において累積的影響額を算定できるものの、表示期間のいずれかに与える影響額を算定することが実務上不可能な場合には、遡及適用が実行可能な最も古い期間の期首時点で累積的影響額を算定し、当該期首残高から新たな会計方針を適用する。
期首時点において累積的影響額を算定することが実務上不可能な場合には、遡及適用が実行可能な最も古い日から将来にわたり新たな会計方針を適用する。
3. 注記
会計方針を変更した場合には、変更の内容、正当な理由によって変更した場合における当該理由、過去の表示期間について影響を受ける財務諸表の主な科目に対する影響額、過去の表示期間の1株当たり情報に対する影響額及び表示されている財務諸表のうち最も古い期間の期首の純資産の額に反映された累積的影響額等を注記する。
また、決算日までに公表済みであるが未適用の新しい会計基準等がある場合には、その名称や概要、新会計基準適用による影響等を注記する。
表示方法の変更
1. 原則的な取扱い
表示する過去の財務諸表について、新たな表示方法に従い、財務諸表の組替えを行う。
2. 原則的な取扱いが実務上不可能な場合の取扱い
財務諸表の組替えが実行可能な最も古い期間から新たな表示方法を適用する。
3. 注記
表示方法を変更した場合には、財務諸表の組替えの内容、理由、組替えられた過去の財務諸表の主な項目の金額等を注記する。
会計上の見積りの変更
1. 原則的な取扱い
変更期間にのみ影響する場合には当該変更期間に会計処理し、将来の期間にも影響する場合には将来にわたり会計処理する。
2. 注記
見積りの変更の内容や影響額等を注記する。
3. 会計方針の変更との区別
会計方針の変更と会計上の見積りの変更とを区別することが困難な場合は、会計上の見積りの変更と同様に取扱う。
なお、有形固定資産の減価償却方法及び無形固定資産の償却方法は、会計方針に該当するが、その変更については、会計上の見積りの変更と同様に遡及処理は行わない。
過去の誤謬の訂正
1. 原則的な取扱い
累積的影響額は表示する財務諸表のうち最も古い期間の期首の資産、負債及び純資産の額に反映させ、表示する過去の財務諸表は修正再表示する。
2. 原則的な取扱いが実務上不可能な場合の取扱い
過去の誤謬の修正再表示が実務上不可能な場合の取扱いは会計基準において明示されていないが、稀に実務において誤謬の修正再表示が不可能な場合が生じる可能性を否定するものではない。可能な限り訂正してもなお重要な未訂正の誤謬が存在する場合、実務上、当該未訂正の誤謬の内容並びに訂正期間及び訂正方法を開示するなどの対応が考えられる。
3. 注記
過去の財務諸表の誤謬の修正再表示を行った場合には、過去の誤謬の内容、過去の表示期間について影響を受ける財務諸表の主な科目に対する影響額、過去の表示期間の1株当たり情報に対する影響額及び表示されている財務諸表のうち最も古い期間の期首の純資産の額に反映された累積的影響額等を注記する。
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