日本公認会計士協会より、「監査・保証実務委員会報告第42号『租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い』等の改正について」が公表されました。企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下、遡及修正基準という)等の適用に対応するため、所要の見直しが行われたものです。
改正された委員会報告は、以下のとおりです。
- 監査・保証実務委員会報告第42号「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い」(以下、42号という)
- 監査委員会報告第61号「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」(以下、61号という)
- 監査・保証実務委員会報告第63号「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」(以下、63号という)
- 監査委員会報告第77号「追加情報の注記について」(以下、77号という)
- 監査委員会報告第78号「正当な理由による会計方針の変更」(以下、78号という)
原則として、42号以外は2011年4月1日以後開始連結会計年度及び事業年度から適用され、42号は公表の日から適用されます。また、42号、61号及び63号は、適用初年度より前の事業年度に行われた会計上の変更及び過去の誤謬の訂正については遡及処理されません。
なお、本改正に伴い、すべての委員会報告が「監査・保証実務委員会実務指針」に変更されています。
(主な改正内容)
42号
42号に基づいて役員退職慰労引当金を新たに設定した場合に、適用初年度の期首に計上すべき過年度相当額を特別損失に計上することができるとする規定を削除する。なお、本改正は2011年4月1日以後開始事業年度から適用する。
61号
債務保証損失引当金計上後に判明した引当金の過不足は、遡及修正基準に基づいて処理する。
63号
更正、決定等による追徴税額及び還付税額は、遡及修正基準に基づいて処理する。
なお、法人税等の追徴及び還付が過去の誤謬に起因するものでない場合には、損益計算書上、原則として「法人税、住民税及び事業税」の次にその内容を示す名称を付した科目で記載する。
77号
1. 四半期財務諸表における取扱い
四半期財務諸表における追加情報の記載は、年度の財務諸表において開示される事項に比べ、その範囲は通常、限定されるものと考えられる。たとえば、利害関係人が年度の財務諸表を理解していることを前提に、年度の財務諸表と比較して著しい変動がある項目や、借入金や社債等に付された財務制限条項に財務制限条項に抵触している状況など、著しい変動の有無にかかわらず四半期財務諸表に重要な影響を及ぼすと認められる項目など、利害関係人が企業集団又は会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判断するうえで必要と認められる項目とすることが考えられる。
2. その他
「会計上の見積りの変更」及び「会計処理の対象となる会計事象等の重要性が増したことに伴う本来の会計処理への変更」は、遡及修正基準に基づいて対応することとなるため、本実務指針の記載から削除する。
78号
1. 会計方針の変更における正当な理由
会計方針の変更のための正当な理由があるかどうかの判断に当たっては、なぜ当該事業年度において会計方針を変更しなければならないのか(変更の適時性)についても、留意する必要がある。
2. 四半期・中間・年度の首尾一貫性
会計方針は、原則として、事業年度を通じて首尾一貫していなければならない。四半期決算を行う企業の第2四半期以降における自発的な会計方針の変更は、当該四半期会計期間において特殊事情が発生した場合等に限って認められる。
3. その他
本実務指針は、遡及修正基準の取扱いを前提とした監査人の判断の指針を示すもとの位置付け、表題を「正当な理由による会計方針の変更等に関する監査上の取扱い」に改める。
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