今般、2025年11月18日付のOECDモデル租税条約のコメンタリーの改訂版が発表されました 。今回の改定においては、リモートワークに係る恒久的施設(PE)の明確化、天然資源の開発・採掘に係る活動から生ずる所得の課税方法についての代替規定の追加、条約解釈の一貫性確保、その他の改定が含まれています。本ニュースレターでは、恒久的施設に係る改定コメンタリーの中から、リモートワーク(ホームオフィス)を中心に紹介し、PE認定の新たな方向性を検討します。
2025年9月12日、リヒテンシュタイン財団を通じて外国法人の株式を保有するとみられる場合にCFC税制の適用を認めることとする判決が東京地裁にて出ました。こちらの判決については一般メディアでも報道されており 、外国の事業体を通じたタックスプランニングに対する影響が注目されるところです。
国子会社からの配当が外貨で行われた場合の子会社簿価減額特例の適用免除基準(2,000万円基準)における外貨換算方法について、国税庁の質疑応答事例 が追加され、実務上の取扱いが明示されました。本稿では外国子会社から外貨建ての配当を受領するにあたり留意すべき項目とその外貨換算方法についてまとめます。
わが国は、156の国・地域との間に合計88本に上る租税条約等を締結・適用しております(2025年10月時点)。租税条約は、国際取引における課税管轄の明確化による二重課税・租税回避の防止などを通じて、健全な国際投資・経済交流を促進することが目的です。しかし実務的には、企業が進出先の新興国において租税条約に反する課税を受ける事例や、租税条約の減免手続きの事務コストが大きいために減免の適用を受けることが困難な事例があります。このように、租税条約の適用を受けられずに課税された外国税額については、外国税額控除制度の適用を受けることもできないため、取扱いに留意が必要です。
経済的な実態の乏しい外国関係会社を用いた租税回避に対処することを目的に外国子会社合算税制(Controlled Foreign Company税制=タックスヘイブン税制)が設けられています。2023年度の法人実地調査では、106件の非違(経理誤り)が指摘され、申告漏れ所得は207億円に上るなど、実務上の重要性が改めて示されています。本稿では、この外国子会社合算税制の概要について解説します。
The Foreign tax credit system is designed to avoid international double taxation. It allows a corporation to deduct, within certain limits, the amount of foreign corporate income tax paid or withheld abroad from its corporate tax liability. A domestic corporation and a foreign corporation which has a permanent establishment in Japan are allowed to take advantage of the foreign tax credit. The following explanations are for a domestic corporation. A foreign corporation is able to take foreign tax credit for eligible foreign taxes on income attributable to a permanent establishment in Japan.
2025 年、トランプ大統領の再登板により、米国の通商政策は大きな転換点を迎えています。特に注目されているのが、関税政策の強化です。今回はGrant Thornton の米国メンバーファームであるGrant Thornton Advisors LLC によるレポートをもとに、米国関税政策の動向ついて整理します。
タイにおける新たなトップアップ税法の影響とその要件について、現状、わかっている仕組み等を記載しております。
The global tax landscape is experiencing a historic transformation as countries implement the OECD/G20’s Pillar Two framework—an initiative designed to introduce a Global Minimum Tax (GMT) of 15% on large multinational enterprises (MNEs). Japan has taken a proactive role in adopting and legislating this framework, aligning its domestic laws with the OECD’s model rules while tailoring certain elements to suit its national tax policy objectives. This article provides an overview of the Income Inclusion Rule (IIR), Undertaxed Profits Rule (UTPR), and Qualified Domestic Minimum Top-up Tax (QDMTT) as implemented in Japan, highlights key dates, compares Japan’s approach with OECD recommendations, and explains the rules’ impact on Japanese corporations.
消費税計算においては、課税期間中の売上税額から一定の仕入税額を控除することにより納付税額を計算することになりますが、国外取引において控除される仕入税額に関し、事例を用いて留意すべき点について確認したいと思います。
タックス・ヘイブン税制(以下「TH税制」)の適用を巡り、大手自動車メーカーX社が課税処分の取り消しを求めていました。本事案は、TH税制における適用除外(現行法における経済活動基準)における、非関連者基準の適用にあたって、特定外国子会社等が関連者との間の保険取引に関連者以外の者を介在させた場合の収入保険料の取扱いが争点になりました。東京地裁2022年1月20日判決ではXが敗訴し、東京高裁2022年9月14日判決ではXが逆転勝訴した後、国税庁が上告したことで、最高裁の判断が待たれていました。そして、2024年7月18日に、最高裁においてXの再逆転敗訴の判決が確定しました。そこで、この稿では、下級審の判断も含めた事件の概要及び、最高裁の判決について紹介します。
令和6年度税制改正により適格現物出資の対象となる現物出資の範囲が見直されました。内国法人が外国法人の本店等に対して行う無形資産の現物出資は適格現物出資から除かれます。また適格現物出資の判定における移転資産の内外判定についても変更されます。改正後の制度は令和6年10月1日以降に行われる現物出資から適用されます。
国外事業者が行うインターネット等を介して行う事業者向けの電気通信利用役務の提供についてはリバースチャージ方式により役務の提供を受ける国内事業者に消費税の納税義務が生じます。この電気通信利用役務の提供を受ける事業者は、リバースチャージ方式が適用される国外事業者との取引について留意が必要です。一方、国内事業者がインターネット等を介して役務提供を行う場合でも国境を超える時は消費税の課税関係の整理が重要となります。
令和6年度税制改正により、研究開発拠点としての立地競争力を強化し、民間による無形資産投資を後押しすることを目的として、イノベーションボックス税制が創設されました。現行の研究開発税制は、研究開発を促進し、研究開発段階における不確実性リスクを軽減するための優遇税制ですが、今回新たに導入されたイノベーションボックス税制は、研究開発の結果である研究開発後の産業化に伴い生じる所得に対しての優遇税制であり、研究から産業化までの一連の活動に対してインセンティブを付与することで、諸外国と比較して遜色ない税制面の環境整備をし、日本におけるイノベーションへの投資推進を図る狙いです。
デジタルサービスタックス(DST)は、インターネットを通じて海外に役務提供できるようになったことを背景として、外国事業者が自国の消費者から得る一定のデジタルサービス収入に課税を試みるものとなります。
税源浸食及び利益移転(BEPS)問題に対応するためのOECD行動計画13「多国籍企業の企業情報の文書化」を契機として、EUにおいては多国籍企業の情報開示の機運が高まり、欧州委員会は2016年4 月に会計指令(指令2013/34/EU)の改正案を発表しました。当該会計指令はEU域内で事業を営む大規模な多国籍企業グループに対し、法人利益、法人所得税の納付額、その他の関連情報の開示を求めるもので、その後の協議・修正を経て2021年11月にEU理事会により承認されました 。 EU加盟国は当該指令を2023年6月22日までに国内化することを要請されています。既に主要EU加盟国は国内法化を済ませ、その施行が徐々に開始している状況です。なお、国別報告書(CbCR)の開示を求める同様の法案は、EU 以外でも導入が検討されてる状況とされ、オーストラリアにおいては法案が公表されています。 本ニュースレターでは、CbCRの開示を求めるEU指令の内容を概説するとともに、より広範な開示が要求されているオーストラリアの法案の動向を説明します。
