日本公認会計士協会より、自主規制・業務本部 平成24年審理通達第1号「年金資産の消失に係る会計処理に関する監査上の取扱いについて」が公表されました。
金融庁から業務停止命令を受けた投資顧問会社と投資一任契約を結んだ年金基金の年金資産の大半の消失がほぼ確実に見込まれることから、本件事案が明らかになった事業年度における会計上の留意点を明らかにしたものです。
(主な内容)
退職給付債務に基づく負債を計上している場合
財務諸表作成時に入手可能な情報を収集し、消失が見込まれる年金資産の額を合理的に見積り、退職給付引当金を計上することが適切であると考えられる。引当金計上に伴う損失は、通常の取引以外の原因に基づいて発生した臨時的損失と考えられるため、特別損失として処理することが適切であると考えられる。
複数事業主制度の処理を採用している場合
消失が見込まれる年金資産の額が制度全体の年金資産に占める割合が高く、将来の掛金拠出等への影響が重要であると想定される場合には、退職給付に係る注記において、当該事案の概要、将来の掛金等への影響がある旨等を補足的に説明することが考えられる。
なお、年金基金における詳細な年金資産の状況が入手できる場合で、将来の追加拠出に伴う損失の発生可能性について引当金の計上要件を満たすときには、財務諸表作成時に入手可能な情報を収集し、合理的な金額を見積り、引当金を計上するとともに費用(損失)処理することが適切であると考えられる。
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