日本公認会計士協会より、「監査・保証実務委員会実務指針第81号『減価償却に関する当面の監査上の取扱い』の改正について」が公表されました。2011年12月に改正法人税法が公布され、減価償却資産に係る定率法の償却率の見直しが行われたことに対応するため、所要の見直しが行われたものです。
なお、本改正は、2012年4月1日以後終了事業年度から適用されます。
(主な改正内容)
減価償却方法に係る基本的な考え方
会計上の減価償却方法に関しては、2007年度税制改正前の旧定額法又は旧定率法、2007年度税制改正後の定額法又は定率法(250%定率法)、2011年度税制改正後の定率法(200%定率法)の5通りの選択肢がある。
2012年4月1日以後取得資産
1. 法令等の改正に伴う変更に準じた会計方針の変更
従来、法人税法に規定する普通償却限度額を正規の減価償却費として処理している企業において、2007年3月31日以前に取得した資産に旧定率法を、2007年4月1日以後に取得した資産に250%定率法を採用していたときに、2012年4月1日以後新規取得資産に200%定率法を採用する場合は、同一種類で同一用途の資産について、類似の減価償却方法を採用するものと認められるため、法令等の改正に伴う変更に準じた正当な理由による会計方針の変更として取り扱う。
なお、250%定率法を採用している企業が、2012年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度において、同日から当該事業年度終了の日までの間に取得した資産に250%定率法を採用することができるとする税務上の経過措置を適用した場合、上述の取扱いは、当該事業年度の翌年度の期首以後に取得する資産に適用する。
2. 法令等の改正に伴う変更(準じたものを含む)以外の会計方針の変更
上述の「法令等改正に伴う変更に準じた会計方針の変更」の場合を除き、減価償却方法を変更するときは、自発的に会計方針の変更を行うものとして取り扱う。この際、単に法人税法の改正を理由とするだけでは正当な理由に該当しないため、変更理由の合理性(変更の適時性等)に留意する必要がある。
既存資産
減価償却方法の変更は自発的に会計方針の変更を行うものとして取り扱う。この際、会計方針の変更の理由の合理性(変更の適時性等)に留意し、単に法人税の改正を理由とするだけでは正当な理由に該当しないことに留意する。
その他
減価償却システムの変更に時間を要するなどの理由により、2012年4月1日以後終了事業年度に係る四半期会計期間又は中間会計期間において、200%定率法による減価償却計算を開始することが困難な場合、いわゆる四半期・中間・年度の首尾一貫性が保持されていないため、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」、「四半期財務諸表に関する会計基準」並びに「中間財務諸表と年度財務諸表との会計処理の首尾一貫性」等に従い、必要な会計処理及び注記を行う。
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