企業会計基準委員会より、実務対応報告第28号「改正法人税法及び復興財源確保法に伴う税率変更等に係る四半期財務諸表における税金費用の実務上の取扱い」が公表されました。
改正法人税法及び復興財源確保法が2011年12月に公布されたことに伴い、四半期(連結)財務諸表における税金費用の実務上の取扱いを明らかにしたものです。
なお、本実務対応報告は2011年12月2日を含む事業年度に係る四半期会計期間のうち、同日以後に終了する四半期会計期間から適用されますが、同日以後、2012年1月20日までに終了した四半期会計期間についても適用されます。ただし、下記の「適時に一時差異等のスケジューリングを行うことが実務上困難な場合」の取扱いについては、2011年12月2日以後最初に終了する四半期会計期間にのみ適用されます。
また、本実務対応報告の適用については、会計方針の変更としては取り扱いません。
(主な内容)
年度決算と同様の方法で税金費用を計算している場合
回収(支払)が行われると見込まれる期に対応した改正後の税率により、繰延税金資産(負債)を計算する。すなわち、2012年4月1日から2017年3月31日までの間に開始する事業年度においては復興特別法人税額が上乗せされることから、同期間に回収(支払)が行われると見込まれる繰延税金資産(負債)については、復興特別法人税額を含む法定実効税率で計算する。また、スケジューリング不能一時差異については、一律に復興特別法人税を含まない法定実効税率で繰延税金資産(負債)を計算する。
四半期特有の会計処理により税金費用を計算している場合
税引前四半期純利益に乗じる税率変更後の見積実効税率は、予想年間納付税額と予想年間法人税等調整額の合計額(以下、予想年間税金費用という)を、予想年間税引前当期純利益で除すことで算出する。この場合、予想年間税金費用は復興特別法人税も考慮に入れた法定実効税率で計算するのが原則であるが、当年度の期首の一時差異等については、一定の状況にあるときには、前年度末における繰延税金資産の回収可能性の検討において使用した将来の業績予測、タックス・プランニング、一時差異等のスケジューリングを利用することができる。一定の状況にないときには、前年度末の検討において使用したものに、経営環境の著しい変化又は一時差異等の大幅な変動による影響を加味したものを利用することができる。
適時に一時差異等のスケジューリングを行うことが実務上困難な場合
適時に一時差異等のスケジューリングを行うことが実務上困難な場合には、合理的で実態にも即していると考えられる方法により算出した単一の税率により税金費用を計算することも認められる。単一の税率としては、たとえば以下のようなものが考えられる。
- 繰延税金資産の回収可能性の判断の際に使用した課税所得の見積期間の各期の法定実効税率を単純に平均した税率
- 一時差異等の項目の主な解消見込時期に対応した法定実効税率(たとえば、一時差異等が主におおむね3年以内に解消されると見込まれる場合には復興特別法人税額を含む法定実効税率を、主におおむね3年を超えて解消すると見込まれる場合にはこれを含まない法定実効税率を使う)
この取扱いを適用した場合、その旨、使用した税率及びその算定方法を注記する。
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