日本公認会計士協会より、「監査委員会報告第69号『販売用不動産等の強制評価減の要否の判断に関する監査上の取扱い』の改正について」が公表されました。 この改正は、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」が公表され、強制評価減の適用がなくなったこと等に伴うものです。 また、表題が監査・保証実務委員会報告第69号「販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い」に改められています。
なお、本改正委員会報告は、企業会計基準第9号が適用される連結会計年度及び事業年度から適用されます。
(主な改正内容)
強制評価減の廃止
従来、棚卸資産の評価基準は原価法と低価法の選択適用であり、原価法を採用している場合、必要に応じて強制評価減を実施することが求められていた。 しかし、企業会計基準第9号の適用に伴い、通常の販売目的で保有する棚卸資産の評価基準が原価法(ただし、収益性が低下した場合には簿価を切下げる)に統一されたため、 販売用不動産等に対する強制評価減は適用されなくなった。
正味売却価額の評価時点
期末(四半期会計期間末を含む)における販売用不動産等の正味売却価額を算定する。
ただし、一般に公表されている地価を基礎に正味売却価額を算出している場合、地価の公表が年間1回であることに鑑み、地価が公表された四半期会計期間末において正味売却価額を算出し、 それ以降期末までに当該地価に重要な変動を及ぼす要因が認められないときには、当該地価を使用して期末における正味売却価額を算定することができる。
簿価切下額の戻入れ(洗替え法の場合)
建物の正味売却価額が回復することは稀であるが、長期保有する土地の場合には、正味売却価額が回復し、簿価切下額の戻入れが生じることも想定される。
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