法人税法施行規則第59条の2の新設 〜関連者間取引の書類整備と実務上の留意点〜
国際税務ニュースレター令和8年度税制改正により新設された、関連者間取引に係る書類の整理保存の特例(法人税法施行規則第59条の2)では、すべての青色申告法人に対し、対価の設定方法等を補完する書類の保存が義務付けられます。本稿では、未対応時の青色申告取消リスクに備えるため、主な改正点を整理するとともに、国税庁の事務運営指針に基づく具体的な実務対応を簡潔に解説します。
2026/10/01 読了時間 4 分

Public CbCRやグローバルミニマム課税(GMT/第2の柱)など、多国籍企業グループが直面するグローバル税務コンプライアンスに対応するためには、本社主導による税務ガバナンスの構築が強く求められます。
海外子会社税務ガバナンスを推し進める上では、現地税務申告やタックスプランニングを子会社任せにするのではなく、日本親会社側で実態と運用を適切に把握しておくことが不可欠であり、各国の基本税制の理解はその一歩となります。
そこで今回は、日系企業の進出先となるケースの多い諸外国を中心に、タックスプランニングや実効税率(ETR)管理において重要な「諸外国の繰越欠損金の原則的な取り扱い」について整理します。
米国では、欠損金について以下の課税年度に応じて税務上の取り扱いが異なります。
上記の他、米国では一定の組織再編等の後は、繰越欠損金の使用を制限する規定が存在します。また、州税においては、州ごとで欠損金の規定が異なるため、事業を行う州ごとに法令を確認する必要があります。
中国では、欠損金が生じた年の翌年から最長5年間、課税所得と相殺するために繰り越すことができます。2018年1月1日以降、適格要件を満たすハイテク企業(HNTE)および科学技術型中小企業(TSME)について法定の5年間の期間内に欠損金を相殺できなかった場合には、これらの欠損金をさらに5年間繰り越すことができます。また、COVID-19のパンデミックにより特に影響を受けた部門を有する企業が2020年に生じさせた欠損金については、その最長繰越期間が8年に延長されます。
なお、中国では欠損金を過去の課税年度へ繰り戻すことはできません。
香港では、欠損金を無期限に繰り越すことができます。また、赤字会社の株主が変更となった場合でそれが節税目的である場合には欠損金の繰越しを制限する規定が存在します。ただし、株主変更の主たる目的がそれら欠損金の利用でない場合、税務上の欠損金は将来の利益と相殺するために引き続き利用することができます。
なお、香港では欠損金を過去の課税年度へ繰り戻すことはできません。
台湾では、欠損金を10年間繰り越すことができます。非課税配当など、損失が生じた年度の課税所得に含まれない投資収益については、欠損金から除外する必要があります。
なお、台湾では欠損金を過去の課税年度へ繰り戻すことはできません。
タイでは、欠損金を5年間繰り越すことができます。
なお、タイでは欠損金を過去の課税年度へ繰り戻すことはできません。
シンガポールでは、未使用の繰越欠損金は無期限に繰り越すことができ、課税所得と相殺することができます。なお、繰越においては、株主の継続性テストを満たすことが求められます。
また、シンガポールでは、原則として未使用の繰越欠損金を1年間、10万シンガポールドルを上限として繰り戻すことが認められています。
オーストラリアでは、欠損金は無期限に繰り越すことができます。繰越損失を利用可能とするためには、株主や事業の継続性に関する基準を満たす必要があります。
なお、オーストラリアでは原則として欠損金を過去の課税年度へ繰り戻すことはできません。ただし、COVID-19に伴う時限措置として、適格事業体(売上高50億豪ドル未満等)を対象に、2019–20から2022–23課税年度に生じた税務上の損失を2018–19課税年度まで遡って繰り戻す特例が認められていました(※本時限措置は2022–23課税年度をもって終了したため、現在は原則通り繰戻不可となっています)。
海外子会社の繰越欠損金の管理は、単なる税務申告にとどまらず、グループ全体の税務コスト最適化やGMTへの対応においても極めて重要な情報となります。各国子会社の税務申告やタックスプランニングを現地任せにせず、本社側でも各国の税制ルールや制限規定を正しく把握し、適切なガバナンス体制を整備することが求められます。
令和8年度税制改正により新設された、関連者間取引に係る書類の整理保存の特例(法人税法施行規則第59条の2)では、すべての青色申告法人に対し、対価の設定方法等を補完する書類の保存が義務付けられます。本稿では、未対応時の青色申告取消リスクに備えるため、主な改正点を整理するとともに、国税庁の事務運営指針に基づく具体的な実務対応を簡潔に解説します。
令和8年1月、グローバル・ミニマム課税について、独自の代替最低税やCFC税制といった最低課税制度を有する米国等の制度との不調和を解消し、双方を共存させるための国際合意(共存システム:Side-by-Side system: SbS)が成立しました。これに対応する新たな適用免除基準が我が国の税制においても措置され、内国法人の令和8年1月1日以後に開始する対象会計年度について適用されます。
米連邦最高裁判所は2026年2月20日、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠とするトランプ政権の追加関税(IEEPA関税)を違法と判断しました。これを受けて米国際貿易裁判所は2026年3月4日、米税関・国境取締局に対し、IEEPA関税の還付を命じました。 本稿では、IEEPA関税の発動から還付に至るまでの経緯を整理し、還付のプロセスおよびIEEPA関税の代替措置について解説します。
令和8年1月、グローバル・ミニマム課税について、独自の代替最低税やCFC税制といった最低課税制度を有する米国等の制度との不調和を解消し、双方を共存させるための国際合意(共存システム:Side-by-Side system: SbS)が成立しました。これに対応する新たな適用免除基準が我が国の税制においても措置され、内国法人の令和8年1月1日以後に開始する対象会計年度について適用されます。
米連邦最高裁判所は2026年2月20日、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠とするトランプ政権の追加関税(IEEPA関税)を違法と判断しました。これを受けて米国際貿易裁判所は2026年3月4日、米税関・国境取締局に対し、IEEPA関税の還付を命じました。 本稿では、IEEPA関税の発動から還付に至るまでの経緯を整理し、還付のプロセスおよびIEEPA関税の代替措置について解説します。
Public CbCR(公開CbCR)やグローバルミニマム課税(GMT/第2の柱)の導入により、多国籍企業グループに求められる税務コンプライアンスはますます高度化しています。海外税務リスクを適切に管理するためには、グループ全体の情報を一元管理し、本社主導で税務ガバナンスを構築することが不可欠です。本稿では、EU・オーストラリアのPublic CbCR制度の概要と、日本本社主導によるグローバル税務ガバナンス構築の重要性について解説します。