資本の払戻しを行った場合のみなし配当計算

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最高裁判所令和3年3月11日判決において、利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当(以下「混合配当」といいます。)は、その全体が法人税法24条1項3号(現行法24条1項4号)に規定する資本の払戻しに該当する旨、また、混合配当につき、減少資本剰余金額を超える直前払戻等対応資本金額等が算出される結果は法人税法の趣旨に適合するものではなく、違法なものとして無効である旨判示されました。

上記判決を受けて、2022年度の税制改正において、資本の払戻しを行った場合のみなし配当の額の計算について見直しが行われました。

みなし配当の概要

  • 会社法上の剰余金の配当に該当しないものであっても、その実質が剰余金の配当と変わらないものは、法人税法上、配当とみなして取り扱われます。
  • 具体的には、一定の合併・分割型分割、資本の払戻しや自己株式の取得などの事由により、その株式等の発行法人より金銭その他の資産の交付を受ける場合には、交付金銭等のうち、一定の金額を超える部分は配当の額とみなすこととされています。

資本の払戻しを行った場合のみなし配当(改正前)

  • 資本の払戻しとは、資本剰余金の減少に伴う剰余金の配当等をいいます。
  • 資本の払戻しを行った場合における有価証券譲渡対価部分は、下記の払戻等対応資本金額等の保有株式相当額となります。したがって、みなし配当の額の計算方法は、下記の算式によります。

混合配当を行った場合のみなし配当の計算方法(改正前)

利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として剰余金の配当(混合配当)が行われた場合において、下記の例の様に利益積立金額がマイナスの場合には、払戻等対応資本金額等が減少資本剰余金を上回る金額が生じることがありました。

(例)資本剰余金から500、利益剰余金から500、合計1,000の配当を同時に行う。

  • 資本金5,000、資本剰余金1,000 = 資本金等の額:6,000
  • 利益積立金額:△500(会計上の利益剰余金1,500、税会不一致による調整△2,000)
  • 純資産価額(利益積立金額+資本金等の額):5,500
  • 払戻等対応資本金額等:6,000 × 500/5,500 = 545

2022年度税制改正の内容

上記の問題を解決するため、みなし配当の額の計算の基礎となる「払戻等対応資本金額等」について、次の①の改正が行われました。

また同時に、種類株式を発行する法人が資本の払戻しを行った場合についても整備され②の改正が行われました。

お見逃しなく!

  • 改正後に資本の払戻しを行った場合には、会計上の利益剰余金と税務上の利益積立金額の状況によっては、みなし配当の額の計算結果が改正前よりも増加する場合が考えられます。
  • 本税制改正が与える影響は限定的ではありますが、投資先の外国法人から混合配当を受ける場合で、現地会社法上の利益剰余金の額と日本の法人税法上の利益積立金額に大きな乖離があると見込まれる場合には、みなし配当の額の計算や有価証券の譲渡対価の額の計算に留意が必要となります。
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