日本経済団体連合会より、「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」(改訂版)が公表されました。今回の改訂は、2015年5月1日に予定される改正法務省令の施行 や、企業結合に関する会計基準の改正 等を踏まえ、所要の改訂が行われたものです。
なお、あくまでも本ひな型は参考資料のひとつであって、実際に各種書類を作成する場合には、各社の事情に応じた適切な開示を実施する必要があります。
(主な改正内容)
1.事業報告関係
常勤で監査を行う者の選定の有無及びその理由
業年度の末日において監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社である場合、常勤の監査等委員又は監査委員の選定の有無及びその理由を記載する。
責任限定契約に関する事項
取締役又は監査役との間で責任限定契約(会社法427条1項)を締結している場合、契約の相手方と共に、当該契約の内容の概要を記載する。
社外役員の親族関係に関する開示
社外役員が、自然人である親会社等(会社法2条4号の2)の親族である場合、当該事実を記載する。
社外役員の役員報酬等の総額
親会社等が自然人である場合、当該自然人が経営を支配している他の子会社等から社外役員が受けている役員報酬等についても記載する。
社外取締役を置くことが相当でない理由
事業年度の末日において監査役会設置会社である大会社(ただし、公開会社に限る)のうち、有価証券報告書の提出義務のある会社が社外取締役を置いていない場合、社外取締役を置くことが相当でない理由を記載する。この場合、社外監査役が2人以上いることのみでは理由とはならない。
会計監査人の報酬等への同意理由
事業年度の末日において会計監査人設置会社である公開会社の場合、当該事業年度に係る会計監査人の報酬等について監査役(会)(又は監査等委員会、監査委員会)が同意をした理由を記載する。
業務の適正を確保するための体制等
企業集団における業務の適正を確保するための体制として、子会社についての事業報告作成会社における内部統制に関する以下の項目を追加する。
- 子会社の取締役等の職務執行に係る事項の会社への報告に関する体制
- 子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
- 子会社の取締役等の職務執行が効率的に行われることを確保するための体制
- 子会社の取締役等及び使用人の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
監査体制の強化に関連して、以下の項目を追加する。
- 取締役等が監査役に報告をするための体制
- 子会社の取締役等から報告を受けた者が監査役に報告をするための体制
- 上記の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
- 監査役の職務執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
その他、業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要を記載する。なお、2015年5月1日以後に末日が到来する事業年度のうち、最初のものに係る事業報告については、同日以後の運用状況の概要に限る。
特定完全子会社に関する事項
事業年度末日において特定完全子会社(会社法施行規則118条4号)がある場合(ただし、完全親会社等(会社法施行規則2条2項118号、会社法847条の3第2項)のある会社を除く)、以下の事項を記載する。
- 特定完全子会社の名称及び住所
- 会社及びその完全子会社等における特定完全子会社の株式の当該事業年度末日における帳簿価額の合計額
- 会社の当該事業年度に係る貸借対照表の総資産の金額
親会社等との利益相反取引
親会社等との取引のうち、当該事業年度に係る個別注記表において関連当事者との取引に関する注記を要するものがある場合、以下の事項を記載する。
- 当該取引をするに当たって会社の利益を害さないように留意した事項(該当事項がない場合には、その旨)
- 当該取引が会社の利益を害さないかどうかについての取締役(会)の判断及びその理由
- 社外取締役の意見が取締役(会)の判断と異なる場合には、その意見
なお、2015年5月1日以後に末日が到来する事業年度のうち、最初のものに係る事業報告については、同日以後に実施された取引に限る。
経過措置等
2015年5月1日以後に末日が到来する事業年度に係る事業報告から適用する。ただし、社外取締役を置くことが相当でない理由については、同日以後に監査役(会)の監査報告の内容の通知を受ける事業報告について適用する。
2.計算書類関係
表示科目の変更
「少数株主持分」を「非支配株主持分」に改める。
連結損益計算書
「当期純利益(又は損失)」の次に「非支配株主に帰属する当期純利益(又は損失)」を表示し、これらを加減した金額を「親会社株主に帰属する当期純利益(又は損失)」として表示する。
株主資本等変動計算書
企業結合に係る暫定的な会計処理の確定があった場合、当期首残高に対する影響額を区分表示する。
連結注記表
退職給付に係る会計処理の方法についての注記において、退職給付見込み額の期間帰属方法について「期間定額基準」と「給付算定式基準」のいずれを適用しているかを記載する。
1株当たり情報
連結計算書類にあっては、1株当たりの親会社に帰属する当期純利益(又は損失)を注記する。
経過措置
上記のうち、株主資本等変動計算書の表示については、2016年4月1日以後開始事業年度(連結会計年度)に係る(連結)計算書類について適用し、同日以前に開始する事業年度(連結会計年度)に係るものについては、なお従前の例による(2015年4月1日以後開始事業年度(連結会計年度)に係るものについては、早期適用可)。株主資本等変動計算書の表示以外のものについては、2015年4月1日以後開始連結会計年度に係る連結計算書類について適用し、同日前に開始する連結会計年度に係るものについては、なお従前の例による。
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