法務省より、「会社法施行規則等の一部を改正する省令」が公布されました。これは、会社法の一部を改正する法律等の施行に伴い、新設された監査等委員会設置会社に係る規定の整備や社外取締役等に関する事業報告等に係る規定の改正、内部統制システムの整備に関する規定の改正、及び企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」等の改正に伴う所要の改正等が行われたものです。
なお、本改正省令2015年5月1日から施行されますが、一部については経過措置が設けられています。
(主な改正内容)
1.事業報告関係
社外取締役を置くことが相当でない理由
当該事業年度末日において、大会社である監査役会設置会社(ただし、公開会社に限る)のうち、有価証券報告書の提出義務のある会社が社外取締役を置いていない場合、社外取締役を置くことが相当でない理由を記載しなければならない。この場合、社外監査役が2人以上いることのみでは理由とはならない。
内部統制システムの運用状況の概要
業務の適正を確保するための体制の整備についての決定又は決議がある場合には、当該体制の運用状況の概要を記載しなければならない。なお、2015年5月1日以後に末日が到来する事業年度のうち、最初のものに係る事業報告については、同日以後の運用状況の概要に限る。
特定完全子会社に関する事項
当該事業年度末日において特定完全子会社がある場合には(ただし、完全親会社等のある会社を除く)、以下の事項を記載しなければならない。
- 特定完全子会社の名称及び住所
- 会社及びその完全子会社等における特定完全子会社の株式の当該事業年度末日における帳簿価額の合計額
- 会社の当該事業年度に係る貸借対照表の総資産の金額
なお、特定完全子会社とは、当該事業年度の末日において、会社の完全子会社等のうち、会社及びその完全子会社等における当該完全子会社等の株式の帳簿価額が、会社の当該事業年度に係る貸借対照表の総資産の金額の5分の1を超えるものをいう。
親会社等との利益相反取引
親会社等との取引のうち、当該事業年度に係る個別注記表において関連当事者との取引に関する注記を要するものがある場合には、以下の事項を記載しなければならない。
- 当該取引をするに当たって会社の利益を害さないように留意した事項(該当事項がない場合には、その旨)
- 当該取引が会社の利益を害さないかどうかについての取締役(会)の判断及びその理由
- 社外取締役の意見が取締役(会)の判断と異なる場合には、その意見
なお、2015年5月1日以後に末日が到来する事業年度のうち、最初のものに係る事業報告については、同日以後に実施された取引に限る。
会計監査人の報酬等への同意理由
事業年度の末日において会計監査人設置会社である公開会社の場合には、当該事業年度に係る会計監査人の報酬等について監査役(会)(又は監査等委員会、監査委員会)が同意をした理由を記載しなければならない。
経過措置等
2015年5月1日前に末日が到来する事業年度のうち、最終のものに係る事業報告については、なお従前の例による。ただし、社外取締役を置くことが相当でない理由については、同日以後に監査役の監査を受ける事業報告に適用する。
2.計算書類関係
表示科目の変更
「少数株主持分」を「非支配株主持分」に改める。
連結損益計算書の表示
当期純利益(又は損失)の次に非支配株主に帰属する当期純利益(又は損失)を表示し、これらを加減した金額を親会社株主に帰属する当期純利益(又は損失)として表示する。
株主資本等変動計算書の表示
誤謬の訂正又は企業結合に係る暫定的な会計処理の確定があった場合には、当期首残高に対する影響額を区分表示する。
1株当たり利益
連結計算書類にあっては、1株当たりの親会社に帰属する当期純利益(又は損失)を注記する。
経過措置
上記のうち、株主資本等変動計算書の表示については、2016年4月1日以後開始事業年度に係る(連結)計算書類について適用し、同日以前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例による(2015年4月1日以後開始事業年度に係るものについては、早期適用可)。株主資本等変動計算書の表示以外のものについては、2015年4月1日以後開始事業年度に係る連結計算書類について適用し、同日以前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例による。
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