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インド駐在員のアーダル番号と戦い (下)

2018/05/31

インド版マイナンバー制度であるアーダール(Aadhaar)番号の取得に、インド駐在の日本人も振り回されている。 そもそも、アーダール番号の主目的は政府補助金を国民に支払う際の管理番号であり、文字の読み書きができない人々でも識別できるように、虹彩や指紋といった生体認証情報も含んでいる。ところが、インド政府はアーダール番号を、個人を認証する ID としてより幅広い目的で利用しようと考え、特に、全ての銀行口座と携帯電話番号には必ずアーダール番号をリンクさせなければならないと決めた。こうした政府の動きについては、プライバシー権との関係での問題点や情報管理上の不安が多く指摘されており、既に裁判でも争われている。 アーダール番号は外国人でも取得「できる」とされており、法律上は義務ではないはずだが、上記のとおり銀行口座や携帯電話番号とのリンクが必須という運用になってしまったため、インドで生活をする日本人駐在員も、日常生活を送るためにはアーダール番号を取得せざるを得ない状況になっている。しかし、このアーダール番号の取得というのが、人によってはスムーズに申請できる場合もあるのだが、私の場合は、大いにインド的展開かつ険しい道のりの手続となってしまった。

富士フィルムの AMP 支出に関する判断

2018/04/30

富士フィルム社のインド支店が提起した移転価格税制に関する税務訴訟において、デリー税務裁判所 (Income Tax Appellate Tribunal:ITAT)は、インド支店が行う日本本店ブランドのブランド構築活動について、移転価格税制の対象であり、インド支店の課税所得には当該ブランド構築活動に係る独立企業間価格が考慮されるべきである、との判断が示されました (TS-224-ITAT-2018(DEL)-TP)。 今回の富士フィルム社のケースで移転価格調査官 (Transfer Pricing Officer:TPO) は、インド支店は「FUJI」ブランドの販促のために多額の広告販促マーケティング (Advertising, Marketing and Promotion:AMP) 支出を負担しており、ブライトラインテストによる移転価格調整をするべきだと指摘しています。詳細は本文をご覧ください。

行政違反罰則規定を定める新しい政令、税務および税関に関する最新情報

2018/04/23

今回のGrant Thornton Vietnamのニュースレターでは、以下(1)(2)(3)(4)(5)に関する最新情報をご案内申し上げます。 (1)会計および独立監査の分野における行政違反罰則規定を定める新しい政令 (2)輸出加工企業(EPE企業)がリース地および工場を非輸出加工企業(非EPE企業)へ譲渡する場合の納税義務 (3)ベトナム居住者外国人の個人所得税に関わる外国税額控除 (4)みなし課税を受けた輸入関税も還付を受ける可能性あり (5)2018年の税務調査対象となる可能性の高い企業

インド駐在員のアーダル番号と戦い (上)

2018/03/27

インド版マイナンバー制度であるアーダール(Aadhaar)番号の取得に、インド駐在の日本人も振り回されている。 そもそも、アーダール番号の主目的は政府補助金を国民に支払う際の管理番号であり、文字の読み書きができない人々でも識別できるように、虹彩や指紋といった生体認証情報も含んでいる。ところが、インド政府はアーダール番号を、個人を認証する ID としてより幅広い目的で利用しようと考え、特に、全ての銀行口座と携帯電話番号には必ずアーダール番号をリンクさせなければならないと決めた。こうした政府の動きについては、プライバシー権との関係での問題点や情報管理上の不安が多く指摘されており、既に裁判でも争われている。 アーダール番号は外国人でも取得「できる」とされており、法律上は義務ではないはずだが、上記のとおり銀行口座や携帯電話番号とのリンクが必須という運用になってしまったため、インドで生活をする日本人駐在員も、日常生活を送るためにはアーダール番号を取得せざるを得ない状況になっている。しかし、このアーダール番号の取得というのが、人によってはスムーズに申請できる場合もあるのだが、私の場合は、大いにインド的展開かつ険しい道のりの手続となってしまった。

もし工場長が企業経営者になったら 第17回

2018/03/14

日本の工場長からフィリピン法人の経営者に就任した場合、経営の知識・経験が不足していたとしても、経営者になったからには経営全般に対して責任を負い、自社の客観視を行う必要がある。 企業を掌握するためには、企業を統治するための基盤、統治基盤が必要となる。統治基盤が弱いところに強固な事業は根付かないし、むしろ、事業の成功によって統治基盤の脆弱さが顕在化することさえある。フィリピン法人の経営者にとっても、この統治基盤の構築が重要な役割のひとつとなっているが、統治基盤を理解せず構築に取り組んでいない経営者も見受けられる。 この統治基盤には、会社に対する支配という側面と会社に対する責任という側面がある。今回は、会社の支配という側面に注目し、意思決定権限を確保することに関して説明していく。

税務、社会保険その他に関する最新情報

2018/03/14

今回のGrant Thornton Vietnamのニュースレターでは、以下(1)(2)(3)(4)(5)に関する最新情報をご案内申し上げます。 (1)税込み所得と税抜き所得の両方がある場合の個人所得税の税額計算 (2)外国投資企業に対する他社製造物品の見なし輸出はまだ認可されず (3)本社所在地とは異なる省・都市での据付サービスを伴う機械設備販売に関わる付加価値税の納税 (4)13ヶ月目の給与は社会保険の対象外 (5)関連者間取引がある会社の非関連者への借入利息

2018 年度インド連邦予算案の概要

2018/02/26

2018 年度のインド連邦予算案が 2 月 1 日に発表されました。来年は下院総選挙の年であるため、暫定予算案の発表となります。そのため、現モディ政権下では、最後の本予算案発表でした。 経済調査結果として、2017-18年度の実質GDP成長率は6.75%であり、2018-19年度には7~7.5%程度に上昇すると見込まれています。予算配分としては、選挙を意識した農民向け 支援策、インフラ整備、農村地域振興が引き続き強調されている印象です。今回は、予算案発表で示された主な税制改正のポイントについて解説します。なお、予算案発表の内容は、2018 年財政法の成立と関連法の改正・通達等により正式に発効する点、本文の意見にかかる部分は筆者の私見である点を申し添えます。

メキシコTax Alert:税務関連情報申告書と各種支払報告書の提出期限の変更

2018/02/22

去る2017 年度の税務改正等により2017年度の税務情報申告(2018年中に申告)に改定が加えられました。これにより、税務関連情報申告書1(Declaración Informativa sobre su Situación Fiscal、以下DISIF)及び各種支払報告書(Declaración Informativa Múltiple、以下DIM)2を確定申告の一部として併せて提出すべし、とした為、前年度の税務情報申告書を確定申告と同時期の3月末日までに提出することになりました。DISIFはこれまで6月末日が期限だった為3か月提出期限が早まりました。DISIF及びDIMには移転価格税制の分析結果から得た情報を記述する必要がある為、結果として同分析自体も早める必要が生じるので注意が必要です。ただし、DISIFではなく税務監査意見報告書(以下Dictamen Fiscal)3の提出を選択する企業は同報告書の提出期限である7月15日に変更はありませんし、Dictamen Fiscalを提出する納税者のDIM提出期限はDictamen Fiscalと同日です。

Tax Alert:申告納税制度における納税者区分の変更

2018/02/14

今回のGrant Thornton Cambodiaのニュースレターでは、申告納税制度における納税者区分の変更に関する最新情報をご案内申し上げます。

外国投資企業による商社活動に関する新しい政令、税務、税関および労務に関するその他最新情報

2018/02/08

今回のGrant Thornton Vietnamのニュースレターでは、以下(1)(2)(3)(4)(5)(6)に関する最新情報をご案内申し上げます。 (1)2018以降の外国投資企業による商社活動に関する新規定 (2)関連者間取引がある企業の借入利息 (3)投資プロジェクト修正手続きを実施していない場合に対する行政罰 (4)ベトナムでの建設分野における外国コントラクターによる輸入リスト、一時輸入再輸出リストの届出規定廃止 (5)辞令によりベトナム赴任する外国人給与の損金算入 (6)社会保険、健康保険、失業保険の保険料納付遅延に関わる延滞金利