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【収益認識の表示・注記】5つのステップの論点整理と開示実務(「収益認識のポジション・ペーパー作成実務 開示、内部統制等への活用」(太陽有限責任監査法人編、高田康行著)より抜粋)

2021/10/19

四半期報告書では記載が省略可能である「収益を理解するための基礎となる情報」および「当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報」も、期末の有価証券報告書においては「重要な会計方針」、「収益認識に関する注記」としての開示が必要になるため、期末に向けて、各社では開示の検討が本格化すると思われる。 収益認識基準においては、従来の実務と異なり、「開示目的」を示したうえで個別の開示項目を規定している。「開示目的」に照らした開示を行うためには、他社事例を収集するアプローチよりも、自社の収益認識の特徴を明らかにしたうえで開示の定めに従った開示方法を検討するアプローチのほうが有効だと思われる。 したがって、本稿では、3つのツールを活用した5つのステップの論点整理と開示実務を紹介する。これまで各社が取り組まれてきた収益認識基準対応を、収益認識の開示(表示・注記)につなげるための一助としていただければ幸いである。

【発刊】「収益認識のポジション・ペーパー作成実務-開示、内部統制等への活用」高田康行

2021/07/09

【発刊】「収益認識のポジション・ペーパー作成実務-開示、内部統制等への活用」 太陽有限責任監査法人(編) 高田康行(著) ㈱中央経済社(発行) 収益認識基準適用後の会計処理、開示、内部統制実務について、ポジション・ペーパーの作成(実践的な14の記載例)を通して解説。注記内容の検討に役立つ開示例も紹介。

【連載】「主要論点をピックアップ 収益認識のポジション・ペーパー記載術(後編第6回)顧客に支払われる対価と委託販売契約等」高田康行

2020/12/10

本連載では、ポジション・ペーパーを12項目で定義してその記載例を解説してきた。後編では、特にその有効活用に重点を置いてきたが、ポジション・ペーパー活用のエッセンスは、ポジション・ペーパー12項目を使って、5つのステップで収益認識の会計処理を検討し、それと同時に財務報告リスクとそれを低減する内部統制を考察できることである(前編第6回、後編第1回、第2回)。また、各論点単独ではなく、ポジション・ペーパーによって5つのステップで各論点を捉える視点や(後編第1回、第4回、第5回)、ポジション・ペーパーに記載した論点の比較により、各論点の理解を深める視点も重要である(後編第2回~第4回)。 後編最終回の本稿では、顧客に支払われる対価と委託販売契約等について、ポジション・ペーパーの記載例の様式にとらわれず、ポジション・ペーパー12項目によって、5つのステップで会計処理を検討し、それと同時に財務報告リスクと内部統制を検討する筋道を解説する。また、本稿の論点を含め、様々な論点に影響を与える「支配」概念について、理解を深めるために多面的に分析する。

【連載】「主要論点をピックアップ 収益認識のポジション・ペーパー記載術(後編第5回)追加の財又はサービスを取得するオプションの付与」高田康行

2020/11/17

本連載では、ポジション・ペーパーを12項目で定義している。12項目は収益認識における会計処理と内部統制の検討のためのフレームワーク(考え方の枠組み)として活用することを意図している。 今回は、「追加の財又はサービスを取得するオプションの付与」の更新オプションが対象論点である。当該論点は「履行義務か否か」が重要なポイントであり、収益認識の5つのステップのステップ2に分類されることが多いが、その判定結果が、同じステップ2の「別個の財又はサービスか否か」、また、ステップ3の「取引価格の決定」および「独立販売価格の見積り」とステップ5の「進捗度の見積り」にも影響を与える。ステップ2の他のステップに与える影響の整理の仕方が今回のポイントである。

【連載】「主要論点をピックアップ 収益認識のポジション・ペーパー記載術(後編第4回)財又はサービスに対する保証と返品権付きの販売」高田康行

2020/10/23

本連載では、ポジション・ペーパーを12項目で定義している。12項目は収益認識における会計処理と内部統制の検討のためのフレームワークとして活用することを意図している。その位置付けは前編の第1回と第6回で解説済みであるが、記載例と併せて理解できるように、今回は12項目それぞれの最初に短い説明を加えた。12項目のつながりの理解の一助にしていただきたい。 また、一般に論点が多いといわれ、多くの企業に該当すると思われる財又はサービスに対する保証を含む取引を今回の対象とする。財又はサービスに対する保証は、論点が多いといわれる割に基準等が対象としているステップは限定的であるため、その検討の全体像(5つのステップ)や類似の論点との関連性が理解のポイントになる。そこで、類似論点の返品権付きの販売を含め、取り上げる論点をあえて1つに限定せず、これらの論点を含む取引を対象とする。

【連載】「主要論点をピックアップ 収益認識のポジション・ペーパー記載術(後編第3回)履行義務の充足に係る進捗度の見積り」高田康行

2020/09/16

本連載では、ポジション・ペーパーを12項目で定義し、会計処理の方針だけでなく、リスクや内部統制も対象としている。また、前編含め全12回の連載で12編以上のポジション・ペーパーを示し、ポジション・ペーパーに記載した各論点を比較することで、収益認識の考え方の理解を深めることも意図している(前回「Ⅱ1ポジション・ペーパーの活用」参照)。今回は、アウトプット法とインプット法の比較により、進捗度の見積りの理解を深めたい。

【連載】「主要論点をピックアップ 収益認識のポジション・ペーパー記載術(後編第2回)本人と代理人の区分(代理人の場合)」高田康行

2020/08/26

本連載では、ポジション・ペーパーを12項目で定義している。12項目には、収益認識の会計処理の方針決定だけでなく、関連するリスクや内部統制も含めている。そうすることで、組織内のすべての者の財務報告意識を高めることを意図している。 今回の記載例は、前編第5回記載例②と同様、本人と代理人の区分が対象論点であるが、両者の結論は異なる。また、ともに財又はサービスが提供される前に、対象となる財又はサービスを「支配」しているか否かを判定しているが、「本人」評価に際しての提供前支配の3指標を考慮するか否かで両者は相違する。両者を比較することにより、本人と代理人の区分のエッセンスを読み取ってほしい。 また、対象取引を新規ビジネスとし、全社的な内部統制における収益認識の検討プロセス(前回参照)の運用の説明としての位置付けを、この記載例に加える。

【連載】「主要論点をピックアップ 収益認識のポジション・ペーパー記載術(後編第1回)5つのステップの重要性」高田康行

2020/07/29

本連載では、収益認識に関する主要論点を取り上げ、当該論点が含まれる取引に関するポジション・ペーパーの記載例を解説する。ポジション・ペーパーの構成を12項目で定義して、その中にリスクと内部統制に関する項目を含めているのが、本連載の特徴である。 今回は、後編の第1回であることを踏まえ、「別個の財またサービスか否か」、「独立販売価格による取引価格の配分」、「一定の期間で充足される履行義務か否か」、そして「支配移転の時点の決定」を対象論点として取り上げ、これらを使って、5つのステップの重要性を解説する。 5つのステップは、会計処理の検討だけでなく、開示の検討でもポイントになる。このポジション・ペーパーの記載例を通じて、今一度、5つのステップの重要性を確認してほしい。 また、リスクと内部統制も各論点ではなく、収益認識に関する全社的な内部統制の視点で記載する。

【連載】「主要論点をピックアップ 収益認識のポジション・ペーパー記載術(第6回)論点整理マップと前編まとめ」高田康行

2020/04/17

本連載では、収益認識の主要論点が含まれる取引事例を取り上げ、そのポジション・ペーパーの記載例を12項目の構成で示してきた。本稿では、ポジション・ペーパーの補足資料として論点整理マップを提示し、収益認識の5つのステップの重要性と特徴を再確認する。また、前編まとめとしてポジション・ペーパー12項目のつながりと作成上のポイントを解説する。 ポジション・ペーパー12項目は、会計処理、リスク、そして内部統制を一緒に考える収益認識の思考プロセスでもあるので、収益認識の実務で活用していただきたい。

【連載】「主要論点をピックアップ 収益認識のポジション・ペーパー記載術(第5回)有償支給取引と本人・代理人の区分」高田康行

2020/03/09

本連載では、収益認識の主要論点が含まれる取引事例を取り上げ、そのポジション・ペーパー(会計処理方針説明書)の記載例を12項目の構成で示す(第1回参照)。本稿では、「有償支給取引」と「本人と代理人の区分」を対象とする。ともに、前回の「支配移転の一時点の決定」でも言及した「支配移転(の有無)の検討」が関係する。前回同様、企業の支配の喪失ではなく、顧客の支配の獲得の観点で検討および記載することが肝要である。