財務モデリングの基本5-M&Aモデルとプロジェクトファイナンスモデルの違い(後編)
プロジェクトファイナンス(PF)における財務モデルの特徴を、M&A等のトランザクションモデルとの比較を通じて解説します。PFモデルは多角的なステークホルダーの共通基盤であり、ノンリコース性を前提としてCFADSやDSCR等の指標をもとに借入可能額(Debt Sizing)や返済パターン(Debt Sculpting)を直接モデル上で算定する点に構造的な違いがあります。
2023/09/28 読了時間 1 分

昨今の高インフレ下の厳しい経済情勢において、多くの企業が今後数ヶ月間に自社の財務状況への影響を見極めるために財務予測を検討しています。とりわけ借入金の状況・返済スケジュール等を検討する上では、既存の銀行融資枠で必要運転資金を賄えるかを検討するだけでなく、コベナンツ(財務制限条項)に対してどのように対応するかを検討することが重要となります。貸手はコベナンツ違反の可能性に対して柔軟に対応してくれる可能性もありますが、自社において直面する可能性のある課題を事前に予測し協議を優位に進めるためにも、事前に精緻な計画を立てる必要があります。
事業に対する潜在的な影響を評価するための出発点は、通常、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、並びに貸借対照表の財務3表を予測する財務モデルとなります。これが柔軟に変更可能な前提条件から構築されていれば、取引減少の影響を洞察したり、緩和策を講じた場合の影響を評価するために、迅速かつ容易に感度を上げることができるはずです。
プロジェクトファイナンス(PF)における財務モデルの特徴を、M&A等のトランザクションモデルとの比較を通じて解説します。PFモデルは多角的なステークホルダーの共通基盤であり、ノンリコース性を前提としてCFADSやDSCR等の指標をもとに借入可能額(Debt Sizing)や返済パターン(Debt Sculpting)を直接モデル上で算定する点に構造的な違いがあります。
財務モデルはさまざまな場面で使われます。その中でも「M&Aトランザクションモデル」と「プロジェクトファイナンス(PF)モデル」は、似ているようで設計思想が大きく異なります。違いは、前提条件、資金の見方、重視する指標、リスクの捉え方にあります。本稿では2回に分けてその違いを解説し、第1回では、PFの基本的な仕組みと特徴、財務モデルの役割や構築上のポイントを紹介します。
財務モデルを構築する際、誰もが一度は直面するのが「循環参照」の問題です。計算がループしてしまい、Excelにエラーメッセージが表示されると、モデルの信頼性が揺らぎかねません。本稿では、プロフェッショナルな財務モデリングにおいて、循環参照がなぜ起きるのか、そしてどのように解決すべきかを解説します。