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近年上場企業や上場を目指すベンチャー企業を中心にインセンティブを目的としてストックオプション制度を設けている法人が増加しており、M&Aにより企業買収を実施する局面においても買収の対象となる法人がストックオプション制度を設けている事例も少なくありません。
しかしながら、M&Aにより100%の完全子会社化を目指す局面において、買収の対象となる法人が発行しているストックオプションを残存させた場合には、当該ストックオプションの行使により100%の関係が崩れる可能性があります。したがって、買い手企業によりあらかじめストックオプションを買い取っておくなど、M&Aの実施時においてはストックオプションについても同時に整理する必要があると考えられます。
本稿ではこのようなM&Aの局面におけるストックオプションの代表的な整理方法とその課税関係について解説いたします。
1. 買収会社がストックオプションを買い取る場合の課税関係
整理方法の一つとして、買い手企業が対象会社を買収し、発行済株式のすべてを取得する場合において、買い手企業により対象会社が従業員に対して付与していたストックオプションを買い取る方法が考えられます。
具体的には、ストックオプションを付与された従業員が対象会社の取締役会の承認を受け、その譲渡制限の解除(譲渡承認)後直ちに、買い手企業が時価でストックオプションを買い取る場合にその課税関係は以下のとおりとなります。
1) 従業員の課税関係
譲渡についての制限その他特別の条件が付されているストックオプションが付与された場合、付与時点においては何ら経済的利益が実現していないことから、その付与時点においては通常、課税関係は生じていないこととなります。ストックオプションの権利行使をする場合、取得した株式の価額と権利行使価額との差額が経済的利益として実現することから、その権利行使時に当該経済的利益について課税関係が生じることになります。
本ケースにおいて、従業員はストックオプションの権利行使を行っておりませんが、その譲渡を行うに当たり、対象会社の取締役会の承認を得て譲渡制限を解除する必要があり、その結果、従業員の意思による第三者への譲渡が可能となります。この譲渡制限の解除により、それまで未実現と捉えられていた経済的利益が顕在化し、収入すべき金額が実現したものと考えられます。
そして、当該ストックオプションは、インセンティブ報酬として従業員に対して付与されていたことから、対象会社と従業員の間の雇用契約またはこれに類する関係に基因して付与されたものと考えられますので、顕在化した経済的利益は、対象会社の取締役会の承認を受け譲渡制限が解除された日(譲渡承認日)における給与所得に該当することとなります。
なお、給与所得として課税される経済的利益の額(譲渡承認日におけるストックオプションの価額(時価))に相当する額が当該ストックオプションの譲渡に係る譲渡所得等に係る取得費等となりますので、本件ストックオプションの譲渡により、譲渡所得等は生じないこととなります。
時期 | 付与時 | 譲渡制限解除時 | 譲渡時 |
---|---|---|---|
課税関係 |
課税関係なし |
譲渡承認日におけるストックオプションの時価により給与所得課税 |
課税関係なし |
2) 取得法人の課税関係
買い手企業が取得した新株予約権については、取得時の時価に付随費用を加算した金額が資産として計上されるものと考えられます。なお、ストックオプションについては発行法人における従業員を対象としたインセンティブ報酬として設計されており、買い手企業が当該ストックオプションを保有・権利行使することは想定されていない可能性があるため留意が必要となります。
3) 発行法人の課税関係
譲渡制限の解除により従業員に給与所得が発生した場合、発行法人においては所得税について源泉徴収義務が発生するため留意が必要となります。
2. 発行法人がストックオプションを買い取る場合の課税関係
次に、具体的な整理方法の一つとして、ストックオプションの発行法人である対象会社がストックオプションの付与を受けた従業員から買い取る方法が考えられますが、この場合における課税関係は以下のとおりです。
1) 従業員の課税関係
ストックオプションの付与を受けていた従業員が当該ストックオプションをその発行法人に譲渡した場合には、当該譲渡の対価の額から当該権利の取得価額を控除した金額を、給与所得等の収入金額とみなすこととされています。
2) 発行法人の課税関係
取得した自己新株予約権については、取得時の時価に付随費用を加算した金額が資産として計上されるものと考えられます。なお、従業員において給与所得が発生する場合には、所得税について源泉徴収が必要となるため留意が必要となります。
また、新株予約権が発行された際には、会計上は純資産の部に計上されますが、税務上は負債として認識されていることから、取得した自己新株予約権について消却を行う場合には、自己新株予約権の取得価額とこれに対応する新株予約権の差額について、消却損または消却益を計上し、損金または益金に算入することになると考えられます。
参考:国税庁質疑応答事例「被買収会社の従業員に付与されたストックオプションを買収会社が買い取る場合の課税関係」2025年7月16日取得
お見逃しなく!
M&Aにおけるストックオプションの取扱いについては上記の課税関係だけでなく、ストックオプションの付与を受けていた従業員の納得感が得られる方法を検討する必要があると考えられます。
具体的には、単にストックオプションを消滅させるだけでは従業員から反発を受ける可能性があるため、代替となる経済的な利益の供与や新たなインセンティブの付与などについても丁寧に説明を行う必要があると考えられます。
税務・会計・監査・アドバイザリーに関わる最新のニュースをお届けします。