「金利のある世界」への経営転換 ~脱デフレ思考と付加価値創出で勝ち抜く3つのアクション~
マネジメントのための経営財務情報『拝啓社長殿』2025年12月に日本銀行は政策金利を0.75%程度に引き上げました。「金利のある世界」への環境変化を「財務リスク」ではなく、「ビジネスモデル変革の好機」と捉え直す経営の指針を紹介します。

日本と米国のユニコーン数の違いは何によるのでしょうか。経済産業省が2025年9月に公表した「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」増補版では、ガバナンスや投資契約の成熟度の違いを指摘しており、最近のIPO時の日米の相違について、つぎのデータを挙げています。
| 項目 | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
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経営者 |
2022年以降にIPOしたスタートアップの87%は、創業者が経営者を継続 |
IPO時に創業者がCEOを務めているのは49%程度 |
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経営株主の持株比率 |
IPO時でも、創業時普通株主が3分の1以上の持ち株比率を有するケースが大半 |
ソフトウェアサービスを行っている上場企業では、経営株主の持株比率は15%程度 |
ガバナンスは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的とし、会社が透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みです。そのポイントとして、①「企業価値の向上」を目的とした仕組みであること、②創業時から普遍的に必要なものであること、③会社毎、フェーズ毎に様々な形態が存在することが挙げられています。ガバナンス体制の向上にむけて各当事者に期待される役割は、つぎのとおりです。
| 当事者 | 役割 |
|---|---|
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取締役会 |
CEO個人の能力に頼った経営ではなく、様々な能力の外部人材を要するチームによる経営、経営環境の変化に応じた執行体制の監督 |
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CEO(創業者) |
迅速かつ果断な意思決定による事業の遂行と取締役会との適切なコミュニケーション |
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VC(投資家) |
企業価値を最大化するための最適な支援の提供 (例)人材の紹介、ビジネスマッチング など)、適切な能力をもつ取締役の指名 |
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独立社外取締役 |
客観的かつ俯瞰的に、会社全体の利益のために、取締役会の意思決定に関与 |
増補版では、①事前承認事項、②株式買取請求権、③表明保証、④補償責任、⑤優先残余財産分配、⑥上場に伴う優先株式の転換、⑦Exit協力義務について、交渉における考え方や方向性が示されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
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交渉における考え方 |
会社の迅速な意思決定による運営の妨げになる恐れがあり、企業価値向上と整合しないことがあるため、フェーズに応じて、事前承認事項の各項目の必要性について経営者・投資家間で十分な吟味が必要 |
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方向性 |
会社の性質、ガバナンスや事業の進捗等に応じて、投資家との対話を通じて適時に調整・決定 |
スタートアップ数は2021年の約16,000件に対し、2023年には約22,000件と増加しており、このうちユニコーン(企業価値10億ドル以上の非上場会社)は6件から8件に増加しています(出典:経済産業省「スタートアップ政策について~これまでの取組と進捗~」, 2025年2月13日発行)。
2025年12月に日本銀行は政策金利を0.75%程度に引き上げました。「金利のある世界」への環境変化を「財務リスク」ではなく、「ビジネスモデル変革の好機」と捉え直す経営の指針を紹介します。
2026年1月、金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ(WG)」より、最新の報告書が公表されました。サステナビリティ開示・保証制度は東京証券取引所プライム市場上場企業を主な対象としていますが 、開示にあたってはバリューチェーン全体のリスクや機会を評価することが重要視されています。そのため、開示が義務化されるプライム市場上場企業だけでなく、それらの企業と取引のある企業に対しても、温室効果ガス(GHG)排出量(Scope 3)をはじめとする情報の提供が求められる可能性があります。
中国は現在、“十五五”計画(第15次5ヵ年計画)に基づき、産業の高度化と国家経済の安全保障を中心とした新たな成長戦略を推進しています。これに伴い、本土企業によるM&Aの活発化や先端製造業への投資拡大が進んでおり、日本企業にとっても重要な参考材料となる動きが見られます。
東京証券取引所(以下「東証」)ではグロース市場(以下「グロース」)の機能発揮に向け各種対応に取り組んでおり、その一環として、上場維持基準の見直しに着手しています。本稿ではこの動きと今後の新規上場に与える影響について触れます。(2025年7月10日現在の情報に基づいています)
2024年(暦年ベース、以下同じ。)のIPO市場は新規上場会社数が134社(TOKYO PRO Marketを含む、以下同じ。)と2023年の124社から10社の増加となりました。2025年は足元3月末までの新規上場会社数(執筆時点での予定社数)は26社となっています。
前回はIPOに係わる関係者として証券会社について説明しました。今回は証券会社と並んで準備を進めるにあたって重要な関係者である会計監査人中心に説明します。また、証券会社、会計監査人以外にもIPOに係わる関係者は多くいます。そうした関係者についてもあわせて説明します。