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統合業務システムの新しい潮流「コンポーザブルERP」

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近年、急速な市場変化やテクノロジーの進化を背景に、企業の基幹業務システムにも抜本的な見直しが求められています。その一つの解決策が「コンポーザブルERP(Composable ERP)」というアプローチです。

※ ERP:ここでは会計や販売、生産管理など、統合経営管理システムを指します

従来型ERP:統合と標準化を重視する「モノリシック(一枚岩)」システム

従来型ERPの中心的な価値は、財務、調達、生産、販売、人事などの業務プロセスを1つのシステム上で統合・標準化することによって、全社の効率性と可視性を向上させる点にあります。

このアプローチには

  • システム導入・改修に数年規模の時間とコストがかかる
  • 業務プロセスをシステムに合わせて変更する必要がある
  • 稼働後、組織体系や業務の変更に対して柔軟に対応できず、環境変化に遅れる

という傾向があり、ビジネススピードが加速し、個別ニーズが多様化する現在の経営環境において、リスク要因にもなり得ます。

コンポーザブルERP:変化への対応力を備えた新たな統合経営管理システム

これに対し、コンポーザブルERPは近年のシステム間連携技術の向上に基づき、例えば、財務会計はA社の製品、人事管理にはB社のクラウドサービス、生産・販売管理は業界特化型のC社ソリューションを採用、共有が必要な登録情報や経営者・管理者が求める意思決定情報はリアルタイムに自動連携させる、といった具合に、事業・部署ごとの特性に合わせたシステムを柔軟に組み上げる(ベスト・オブ・ブリード)というシステム構築の考え方です。複合業態に強いのも特長の一つです。従来型のERPに比べ、関連するシステムのグランドデザイン力が求められますが、コンポーザブルERPは企業経営に次のような価値をもたらします。

  1. 俊敏性の確保:
    市場の変化、新規事業の立ち上げ、M&Aによる組織再編などのビジネス環境変化に対し、必要な業務機能を短期間で追加・変更、イノベーションを加速できます。
  2. コスト最適化:
    すべての機能を一括導入する必要がなく、必要な領域だけを選んで導入できるため、初期投資・維持費用を最適化できます。
  3. システムに対する積極性強化:
    受け身になりがちな各事業部や地域拠点が、自らの業務に最適なツールを選定できるため、システム導入や運用に利用者が積極的に参画できます。

お見逃しなく!

ERPは「統合・標準化ツール」から「ビジネスを加速させるための可変的な武器」にシフトしつつあります。経営者がこのパラダイムの変化を理解し、先頭に立って推進することが、次世代の競争力の鍵となるでしょう。

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