主としてExcelで作成される財務モデルは、適切なレベルで構築されることで、企業の成長戦略を定量化・可視化し意思決定に資するものとなりますが、時として作り手にしか理解できない、あるいは煩雑な情報を含む不明瞭なものが出来上がってしまいます。本稿では、改めて「財務モデル」について定義づけするとともに、意思決定に資する財務モデルを作成するにあたって留意すべき点について考察します。
前回の記事(2021年4月4号「国際評価基準(IVS)の概要と一般基準」)では、執筆時点(2021年2月25日)における最新版のIVSである2020年1月31日から適用されている基準の構成と一般基準の概要を解説しました。この執筆時点(2021年2月25日)における最新版IVS公表時の改正事項のうち、「IVS105 Valuation Approaches and Methods(評価アプローチ/評価方式及び評価法)」は、インカム・アプローチのキャッシュ・フローの見積り、割引率の見積り及びキャッシュ・フローと割引率との対応関係の適切性等に関する基準を追加し、さらに評価モデルの規定を新設しています。
本記事では、2019年1月1日から2020年6月30日までの18ヶ月間のオーストラリアのM&A案件(以下、案件といいます。)を対象としています。全体的な案件数は1,394件であり、前回(2017年7月1日から2018年12月31日まで)の18ヶ月間の1,403件とほぼ同じでしたが、案件が盛んであった2019年後半に対し、2020年上期は新型コロナウィルス感染症(Covid-19)のパンデミックの影響で大幅に案件数が減少したことで、二極化した期間となりました。オーストラリア経済の資源主導型経済から知識ベースのサービス経済への継続的な転換の動きは、本記事に見られるように、この期間を通じて加速していることがわかります。とりわけ情報技術(IT)セクターの伸びは大きく、パンデミック下の市場状況に後押しされ大幅な成長を遂げています。なお、本文中意見にわたる部分は、筆者の私見であることをあらかじめ申し添えさせて頂きます。
DX考察第1回(2021年6月6号「デジタルトランスフォーメーション(DX)概略」)では、デジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」といいます。)とは、デジタル技術をトリガーとして、既存の産業構造そのものを変化させるものであり、企業にとっては、そもそもの企業の在り方をも変容させることで、新たな価値創造を行う活動であると定義し、DXの概略について考察しました。 本記事では、DXの進め方とデジタル成熟度評価に関して考察したいと思います。なお、本文中の意見に当たる部分は、筆者の私見であることをあらかじめ申し添えます。
2016年頃から、デジタルトランスフォーメーション(以後「DX」という。)による企業変革の動きがトレンドとして広まり始めています。さらに、2019年末発生した新型コロナウィルス禍により将来の不確実性が高まる中、企業活動におけるDXは、経営者にとって無視できないものになってきました。 本記事では、そのDXをキーワードに、概略・基本的な進め方・実例を数回のパートに分けて考察したいと思います。
2021より、コーポレートガバナンス・コード(以下、「CGコード」という。)の改訂案が公表されました。今般の改訂案では、5つの補充原則が新設され、CGコードの基本原則、原則、補充原則の総数は78から83となり、また既存原則等についても一部内容の加筆・修正が行われました。 本稿では、今般公表されたCGコードの改訂案を、フォローアップ会議より2021年4月6日に提言された「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について」(以下、「CGコードと対話ガイドラインの改訂について」という。)における「基本的な考え方」を参考に、以下の7項目に分類し、それぞれの内容について解説していきます。
前回、執筆した記事の「国際評価基準審議会(IVSC)の動向から見るバリュエーション実務の課題〜評価実務を巡る課題と評価資格制度導入による今後の展望〜」では、IVSC は、リーマンショックを契機に従前より存在した国際評価基準(IVS)の質を向上させるべきとの要請が高まったことから、国際的に評価の質を上げる活動を加速し、国際評価基準(International Valuation Standards: IVS)として IVS2017 を公表し、その後、IVS は、2020 年 1 月 31 日から適用される基準を公表してからは、毎年、基準を見直す方針をとっていることを説明しました。 今回は、現時点(2021 年 2 月 25 日)における最新版の IVS である 2020 年 1 月 31 日から適用されている基準の構成について解説した上で一般基準の概要を解説します 。
新型コロナウィルス(Covid-19)禍で将来の不確実性が高まる中、M&Aにおける株式譲渡契約(SPA)等において、日本でも、将来の業績に応じた追加的な対価の支払いについて定めた、いわゆる「アーンアウト条項」を含めるケースが見られるようになっています。 本記事では、アーンアウト条項の概要とその会計処理、さらには米国Grant Thornton LLPが2020年に実施した米国での同条項の利用実態に関する調査概要を紹介します。
企業価値評価のニーズは、M&A、スタートアップ企業・ベンチャー企業における資金調達やストック・オプション、事業承継など様々な局面にあり、企業価値評価は、あらゆる株式会社に必要とされています。また、会計上ものれんの減損やPPA、非上場株式の減損等の検討が求められ、会計業務においても企業価値評価の理解が重要な時代になりました。このように評価・バリュエーションが重視される現在、国際評価基準審議会(International Valuation Standards Council: IVSC)は、評価実務に携わる評価者の品質を一定に保つ仕組み(評価資格制度)を検討しています。 本稿では、評価実務を巡る課題を解説し、その上で評価資格制度導入による今後の評価実務に関する展望を解説いたします。
今なお収束が見通せない新型コロナウィルス(COVID-19)の流行は、世界中の何十億もの人々の生活に影響を与えています。M&Aの世界においても、ディールを継続する上で大きな障害となっており、スケジュール、価格調整、契約条項等幅広い範囲で買い手・売り手双方に不確実性をもたらす事象となっています。 本記事では、特にM&Aにおける買い手企業の視点から、COVID-19影響下での財務デューデリジェンスにおける留意事項について、考察します。
