国税庁が公表した法人税等の調査事績の概要によると、源泉所得税の実地調査件数は、コロナ禍の影響を受けた令和2年事務年度に2万9千件まで減少しましたが、その後増加傾向を示し、令和4年事務年度には7万2千件に達しています。このように税務調査が活発化する中、企業には源泉所得税に関する適切な対応が求められています。本ニュースレターでは、源泉所得税のうち非居住者等所得に関して、「租税条約に関する届出書」を中心に調査指摘事例等を整理しました。
タックス・ヘイブン税制(以下「TH税制」)の適用を巡り、大手自動車メーカーX社が課税処分の取り消しを求めていました。本事案は、TH税制における適用除外(現行法における経済活動基準)における、非関連者基準の適用にあたって、特定外国子会社等が関連者との間の保険取引に関連者以外の者を介在させた場合の収入保険料の取扱いが争点になりました。東京地裁2022年1月20日判決ではXが敗訴し、東京高裁2022年9月14日判決ではXが逆転勝訴した後、国税庁が上告したことで、最高裁の判断が待たれていました。そして、2024年7月18日に、最高裁においてXの再逆転敗訴の判決が確定しました。そこで、この稿では、下級審の判断も含めた事件の概要及び、最高裁の判決について紹介します。
2024年10月1日以降に開始する課税期間から、国外事業者等に適用される消費税法がいくつか改正されます。本稿では、事業者免税点制度や簡易課税制度、2割特例等の見直しに焦点を当て、これらの改正点について詳しく解説いたします。
令和6年度税制改正により適格現物出資の対象となる現物出資の範囲が見直されました。内国法人が外国法人の本店等に対して行う無形資産の現物出資は適格現物出資から除かれます。また適格現物出資の判定における移転資産の内外判定についても変更されます。改正後の制度は令和6年10月1日以降に行われる現物出資から適用されます。
国外事業者が行うインターネット等を介して行う事業者向けの電気通信利用役務の提供についてはリバースチャージ方式により役務の提供を受ける国内事業者に消費税の納税義務が生じます。この電気通信利用役務の提供を受ける事業者は、リバースチャージ方式が適用される国外事業者との取引について留意が必要です。一方、国内事業者がインターネット等を介して役務提供を行う場合でも国境を超える時は消費税の課税関係の整理が重要となります。
令和6年度税制改正により、研究開発拠点としての立地競争力を強化し、民間による無形資産投資を後押しすることを目的として、イノベーションボックス税制が創設されました。現行の研究開発税制は、研究開発を促進し、研究開発段階における不確実性リスクを軽減するための優遇税制ですが、今回新たに導入されたイノベーションボックス税制は、研究開発の結果である研究開発後の産業化に伴い生じる所得に対しての優遇税制であり、研究から産業化までの一連の活動に対してインセンティブを付与することで、諸外国と比較して遜色ない税制面の環境整備をし、日本におけるイノベーションへの投資推進を図る狙いです。
デジタルサービスタックス(DST)は、インターネットを通じて海外に役務提供できるようになったことを背景として、外国事業者が自国の消費者から得る一定のデジタルサービス収入に課税を試みるものとなります。
税源浸食及び利益移転(BEPS)問題に対応するためのOECD行動計画13「多国籍企業の企業情報の文書化」を契機として、EUにおいては多国籍企業の情報開示の機運が高まり、欧州委員会は2016年4 月に会計指令(指令2013/34/EU)の改正案を発表しました。当該会計指令はEU域内で事業を営む大規模な多国籍企業グループに対し、法人利益、法人所得税の納付額、その他の関連情報の開示を求めるもので、その後の協議・修正を経て2021年11月にEU理事会により承認されました 。 EU加盟国は当該指令を2023年6月22日までに国内化することを要請されています。既に主要EU加盟国は国内法化を済ませ、その施行が徐々に開始している状況です。なお、国別報告書(CbCR)の開示を求める同様の法案は、EU 以外でも導入が検討されてる状況とされ、オーストラリアにおいては法案が公表されています。 本ニュースレターでは、CbCRの開示を求めるEU指令の内容を概説するとともに、より広範な開示が要求されているオーストラリアの法案の動向を説明します。
2024年2月19日、OECDは経済のデジタル化に伴う課税上の課題へ対応するためのBEPS2.0プロジェクトにおける2本の柱の1つである、第1の柱・利益Bに係る新たな報告書をリリースしました 。本文書では、BEPSに関する包摂的フレームワーク(Inclusive framework:以下「IF」)第1の柱・利益Bに関するコンセンサスを反映したものとして、税務当局と納税者双方のコンプライアンスリソースを有効活用するためのソリューションとして基礎的販売活動に係る簡素化・合理化された移転価格設定方法を提唱しています。
BEPS2.0(税源浸食・利益移転問題の第二段階)に関する施策の第2の柱(Pillar 2)は、グローバル・ミニマム課税を実現するために、所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)、軽課税所得ルール(UTPR:Undertaxed Profits Rule)、適格国内ミニマムトップアップ課税(QDMTT:Qualified Domestic Minimum Top-up Tax)、及び租税条約上の最低課税ルール(Subject to Tax Rule:STTR)で構成されています。 2023年度税制改正により、IIRが日本においても一部所要の見直しの上2024年4月1日以後開始事業年度より適用されます。一方、令和6年(2024年)与党税制改正大綱によれば、IIRのバックストップと位置付けられているUTPR、 QDMTTについても、国際的な議論を踏まえ、2025年度以降の導入を検討するとされています。 本ニュースレターにおいては、IIR、UTPR (これらをGloBEルールといいます。)及びQDMTTとの関係につき解説するとともに、国際的な動向にも言及します。さらに、STTRの内容についても触れ、今後どのような論点が生ずるか、考察していきます。
タックス・ヘイブン対策税制の適用を巡る事件につき、課税処分の取り消しを求めていた大手銀行X社の主張を認めた東京高等裁判所2022年3月10日判決について当ニュースレター(2022年7月号「外国子会社合算税制の税制改正に伴う留意点」)にてお伝えしておりました。同事件については国税庁が上告していましたが、2023年11月6日に最高裁判所にてX社の逆転敗訴となる判決が下されました。
2023年10月1日よりインボイス制度が開始しています。このインボイス制度の導入に伴い、事業者は様々な対応が必要となりますが、今回はその中でも外資系企業におけるインボイス対応について、整理してみました。
OECDは、2023年7月に発表した第2の柱に関する文書 で、第2の柱を構成するルールの一つである租税条約の特典否認ルール( Subject to Tax Rule、以下「STTR」)のモデル条約及びそのコメンタリーを示しました。また、10月には制度導入のための多国間協定(STTR MLI)が公表され、署名の受付が開始されました。
OECDは、2023年7月に発表した第2の柱に関する文書 で、第2の柱を構成するルールの一つである租税条約の特典否認ルール( Subject to Tax Rule、以下「STTR」)のモデル条約及びそのコメンタリーを示しました。また、10月には制度導入のための多国間協定(STTR MLI)が公表され、署名の受付が開始されました。
国税庁は2023年3月30日に「租税条約における「利得の分配に係る事業年度の終了の日」の取扱いについて」を公表しました。先般、国が敗訴した令和5年2月16日東京高裁判決令和 4年(行コ)第72号を受けたもので、分割型分割を事由としたみなし配当がある場合、租税条約で適用される軽減税率の判定について、株式の保有期間要件の取扱いを変更したものです 。
令和5年度税制改正により、令和6年4月1日以後開始対象会計年度から、国際最低税額に対する法人税(OECDのBEPS 2.0グローバル・ミニマム課税の一つである所得合算ルール(Income Inclusion Rule:以下「IIR」))が適用されます。この制度は、連結売上高が7億5千万ユーロ(約1100億円)超の多国籍企業グループ等を対象とし 、外国子会社所在地国の実効税率が15%未満の場合に、15%に至るまで最終親会社所在国等で上乗せ課税する仕組みです。 タイでは、タイ投資委員会(Board of Investment:以下「BOI」)による投資優遇制度がありますが、この制度の恩典を受けると、実効税率が15%未満となるため、最終親会社所在地国等において15%まで上乗せ課税されてしまうとの問題が指摘されておりました。BOIは2023年5月16日に、グローバル・ミニマム課税の影響を緩和することを目的とした、タイにおける実効税率を引き上げるための新たな救済措置を公表したため、ご紹介します。
