
2025年4月の育児介護休業法改正とあわせて、時限立法である次世代育成支援対策推進法も2035年3月末まで期限が延長され内容も改正されました。この法改正により、企業は男性の育児休業取得をはじめとした仕事と育児の両立支援に関する取組みを一層行う必要があります。
法改正の内容
従業員101人以上の企業は、同法に基づく行動計画の策定・届出・公表・周知が義務付けられています(100人以下は努力義務)。2025年4月1日以降に行動計画を策定又は変更する場合、直近の事業年度における「①育児休業等の取得状況」及び「②労働時間の状況」を把握するとともに、改善すべき事情を分析した上で、①及び②に係る数値を用いて定量的な目標を設定する必要があります。どのように状況を把握し、目標を設定すべきかいくつか例を紹介します。
1. 育児休業の取得状況の把握、及び数値目標の設定
1)状況把握に関する観点例
- 男女がともに育児休業、育児目的休暇等を取得できる状況にあるか
- 希望通りの期間が取得できる状況にあるか
2)数値目標例
- 計画期間における男性の平均育児休業取得率を○%以上とする
- 男性の育児休業取得期間2週間以上の割合を○%以上とする
2. 労働時間の状況把握、及び数値目標の設定
1)状況把握に関する観点例
- 長時間労働ゆえに仕事と家庭の両立が困難となっていないか
- 子育てを行う従業員のみならず、全ての従業員について長時間労働になっていないか
- 特定の部署・特定の担当者・特定の時期に、特に長時間労働となっていないか
※ 短時間労働者を除く全ての従業員が対象となり、管理監督者等も対象範囲に含まれています。
2)数値目標例
- フルタイム従業員一人当たりの各月ごとの法定時間外労働及び法定休日労働の合計時間数を○時間未満とする(又は○%削減する)
上記で設定した数値目標を達成するために、企業は各部署における育児休業者の業務カバー体制(代替要員の確保、業務体制の見直し等)を検討したり、所定外労働の原因を分析し管理職を対象とした意識改革のための研修を実施するなど、目標に沿った取組みを実施することが求められます。
くるみん認定
基準を上回る目標を定めた行動計画を策定し、その目標を達成した場合、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。以下がくるみん認定を受けることによるメリットの一例です。
- 公共調達の際に加点評価される
- くるみん助成金として上限50万円が支給される
- 賃上げ促進税制にて税額控除率の上乗せ等の優遇措置を受けることができる
- 働き方改革推進支援資金の制度を活用することができ、特別利率が適用されるなどの優遇措置が受けられる
もう少し補足!
くるみん認定はSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」と大きく関連するものです。くるみん認定を受けることにより採用において人材獲得に有利に働き、また育児に関する社内制度を周知することから人材定着の効果が期待され、さらに時間外労働の削減による業務の効率化も見込めます。
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