企業会計基準委員会より、改正企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」及び関連する他の改正会計基準等が公表されました。企業結合に関する会計基準等の見直しに関するステップ1が2008年12月に完了したのに引き続き、ステップ2として、非支配株主持分の取扱い、取得関連費用の取扱い、及び暫定的な会計処理の確定の取扱いの改正が行われました。
改正された基準等は、以下のとおりです。
- 改正企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」
- 改正企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」
- 改正企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」
- 改正企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」
- 改正企業会計基準第6号「株主資本等変動計算書に関する会計基準」
- 改正企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」
- 改正企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」
- 改正企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」
- 改正企業会計基準適用指針第8号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」
- 改正企業会計基準適用指針第9号「株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針」
- 改正企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」
(主な改正内容)
支配が継続している場合における子会社に対する親会社の持分変動
子会社株式の追加取得や一部売却、子会社による時価発行増資等によって生じた、子会社に対する親会社の持分変動による差額(支配が継続している場合に限る)は、資本剰余金に計上する。なお、子会社株式の一部売却等によって親会社の持分が減少した場合であっても、のれんの未償却額は減額しない。
取得関連費用
企業結合における取得関連費用は、連結財務諸表上、発生した事業年度の費用として処理する。また、主要な取得関連費用は注記する。
暫定的な会計処理の確定の取扱い
暫定的な会計処理の確定が企業結合年度の翌年度に行われた場合、当該年度の比較情報として表示される企業結合年度の財務諸表には、確定による取得原価の配分額の見直しを反映させる。この場合、比較情報として表示される1株当たり情報についても、当該見直しを反映させる。
連結財務諸表における表示
1. 非支配株主持分
改正前基準の「少数株主持分」を「非支配株主持分」とする。また、「少数株主損益」を「非支配株主に帰属する当期純利益」とする。
2. 当期純利益
改正前基準の「少数株主損益調整前当期純利益」を「当期純利益」とし、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」とする。これに伴い、連結上の1株当たり当期純利益を算出するに際しては、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」と読み替える。
また、いわゆる2計算書方式の場合には「当期純利益」に「非支配株主に帰属する当期純利益」を加減して「親会社株主に帰属する当期純利益」を表示し、1計算書方式の場合には「当期純利益」の直後に「親会社株主に帰属する当期純利益」及び「非支配株主に帰属する当期純利益」を付記する。
適用時期
1. 連結財務諸表における表示
2015年4月1日以後開始連結会計年度の期首から適用し、早期適用は認めない。
2. 上記以外
2015年4月1日以後開始連結会計年度及び事業年度の期首から(暫定的な会計処理の確定の取扱いについては、同日以後実施される企業結合から)適用する。ただし、すべての取扱いを同時に適用する場合には、2014年4月1日以後開始連結会計年度及び事業年度の期首から(暫定的な会計処理の確定の取扱いについては、同日以後実施される企業結合から)適用することができる。
適用初年度における経過措置等
1. 支配が継続している場合における子会社に対する親会社の持分変動及び取得関連費用
過去の期間のすべてに新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を期首資本剰余金及び利益剰余金に加減する。ただし、期首から将来にわたって適用することもできる。
2. 暫定的な会計処理の確定の取扱い
期首以前に実施された企業結合の暫定的な会計処理が、期首以後開始事業年度に確定したときの損益影響額は、従前の取扱いにより特別損益に計上する。
3. 連結財務諸表における表示
比較情報として表示される過去の連結財務諸表は、組み替える。
4. その他
本改正に伴う会計方針の変更は、会計基準等の変更に伴う会計方針の変更として取り扱う
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