金融庁より、「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」が公布されました。企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」の改正等を踏まえ、所要の改正が行われたものです。
改正された主な内閣府令は、以下のとおりです。
- 四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 企業内容等の開示に関する内閣府令
- 「四半期連結財務諸表規則の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(四半期連結財務諸表規則ガイドライン)
- 「企業内容等の開示に関する留意事項について」(企業内容等開示ガイドライン)
なお、本改正内閣府令は2011年4月1日から施行され、同日以後に開始する連結会計年度又は事業年度に属する四半期会計期間及び四半期累計期間に係る四半期財務諸表及び四半期報告書から適用されますが、一部に経過措置が設けられているものがあります。
本改正は主に企業会計基準第12号の改正を取り込んだものとなっていますが、それ以外の主な改正部分は以下のとおりです。
(主な改正内容)
四半期(連結)財務諸表
1. 比較情報
当四半期(連結)会計期間及び当四半期(連結)累計期間に係る四半期(連結)財務諸表は、その一部を構成するものとして比較情報を含めて作成しなければならない。比較情報は、以下の四半期(連結)財務諸表の区分に応じ、当該四半期(連結)財務諸表に記載された事項に対応するものである。
四半期連結財務諸表 | 比較情報 |
四半期連結貸借対照表 |
前連結会計年度に係る事項 |
四半期連結損益計算書及び四半期連結包括利益計算書 |
前連結会計年度の対応する四半期連結会計期間及び四半期連結累計期間に係る事項 |
四半期連結キャッシュ・フロー計算書 |
前連結会計年度の対応する四半期連結累計期間に係る事項 |
四半期財務諸表 | 比較情報 |
四半期貸借対照表 |
前事業年度に係る事項 |
四半期損益計算書 |
前事業年度の対応する四半期会計期間及び四半期累計期間に係る事項 |
四半期キャッシュ・フロー計算書 |
前事業年度の対応する四半期累計期間に係る事項 |
2. 四半期(連結)損益計算書
第2四半期(連結)会計期間に係る四半期(連結)損益計算書を作成する場合、第3四半期(連結)会計期間に係る四半期(連結)損益計算書を作成しなければならない
3. 四半期連結包括利益計算書
第2四半期連結会計期間に係る四半期連結損益計算書を作成する場合、第2及び第3四半期連結会計期間に係る四半期連結包括利益計算書を作成しなければならない。
4. 四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書
第1四半期(連結)累計期間に係る四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書を作成する場合、第3四半期(連結)累計期間に係る四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書を作成しなければならない。ただし、第3四半期(連結)会計期間において大規模な企業結合が行われた等の事情により第3四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書の作成が実務上困難な場合、作成できない旨及びその理由を注記する。
5. 注記の削除
以下の注記は削除する。
- 逆取得となる企業結合が行われた場合における注記(ただし、四半期連結財務諸表のみ)
- 減価償却累計額を有形固定資産の金額から直接控除した場合における、減価償却累計額の金額の注記
- 減損損失累計額を減価償却累計額に合算したうえで、減価償却累計額の科目で間接控除した場合における、減価償却累計額に減損損失累計額が含まれている旨の注記
- 同一の工事契約に係るたな卸資産及び工事損失引当金がある場合に、両者を相殺しないで表示しているときにおける、その旨及び当該工事損失引当金に対応する当該たな卸資産の金額の注記、並びに、両者を相殺して表示しているときにおける、その旨及び相殺表示したたな卸資産の金額の注記
- 申込期日経過後の新株式申込証拠金がある場合における、当該株式の発行数、資本金増加の日及び当該金額のうち資本準備金に繰り入れることが予定されている金額の注記
- 「法人税、住民税及び事業税」及び「法人税等調整額」を一括して記載した場合における、その旨の注記
6. 注記等の簡素化
- 金融商品に関する注記について、四半期(連結)貸借対照表計上額と時価との差額及び前連結会計年度(又は前事業年度)に係る(連結)貸借対照表計上額と時価との差額に重要性が乏しい場合、注記を省略することができる。
- 第1及び第3四半期(連結)会計期間においては、「商品及び製品」、「仕掛品」並びに「原材料及び貯蔵品」を「たな卸資産」の科目で一括して掲記した場合における、その内訳の注記を省略することができる。
- 第1及び第3四半期(連結)累計期間並びに四半期(連結)会計期間において、販売費及び一般管理費を「販売費」もしくは「一般管理費」又は「販売費及び一般管理費」の科目で一括して掲記することができる。この場合、販売費又は一般管理費の費目及びその金額の注記は要しない。
四半期報告書
1. 項目の削除
以下の項目を削除する。
- 第一部 企業情報 第1 企業の概況 3. 関係会社の状況
- 第一部 企業情報 第1 企業の概況 4. 従業員の状況
- 第一部 企業情報 第2 事業の状況 1. 生産、受注及び販売の状況
- 第一部 企業情報 第3 設備の状況
- 第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 2. 株価の推移
これに伴い、当四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減があった場合にはその事情及び内容、生産、受注及び販売の実績に著しい変動があった場合にはその内容、新設・除売却等により主要な設備に著しい変動があった場合にはその内容を、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3. 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において記載する。
2. 記載対象期間の変更
以下の項目は、四半期連結累計期間について記載する。
- 第一部 企業情報 第1 企業の概況 2. 事業の内容
- 第一部 企業情報 第2 事業の状況 1. 事業等のリスク
- 第一部 企業情報 第2 事業の状況 3. 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
3. 記載対象の簡素化
- 「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3. 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」は、「第一部 企業情報 第4 経理の状況」において四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書を記載した四半期(連結)会計期間以外の四半期(連結)会計期間においては、キャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容の記載を要しない。
- 「第一部 企業情報 第3 提出会社の状況 1. 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」は、当四半期会計期間において新株予約権又は新株予約権付社債を発行した場合に記載する。
- 「第一部 企業情報 第3 提出会社の状況 1. 株式等の状況 (3) 行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等」は、当四半期会計期間において行使価額修正条項付新株予約権付社債券等に係る新株予約権が行使された場合に記載する。
- 「第一部 企業情報 第3 提出会社の状況 1. 株式等の状況 (4) ライツプランの内容」は、当四半期会計期間において買収防衛策の一環として新株予約権を発行した場合に記載する。
- 「第一部 企業情報 第3 提出会社の状況 1. 株式等の状況 (6) 大株主の状況」は、第1及び第3四半期会計期間においては、大株主の異動があった場合における、その旨の注記の注記を要しない。
- 「第一部 企業情報 第3 提出会社の状況 2. 役員の状況」は、前事業年度の有価証券報告書提出日後、当四半期累計期間において役員に異動があった場合に記載する。
4. 主要な経営指標等の推移(いわゆるハイライト情報)
- 四半期(連結)累計期間に係る経営指標等を記載する。ただし、「第一部 企業情報 第4 経理の状況」において四半期(連結)会計期間に係る四半期(連結)損益計算書(及び四半期連結包括利益計算書)を記載した場合、四半期(連結)会計期間に係る売上高、四半期純利益金額及び1株当たり四半期純利益金額を括弧書きで併せて記載する。
- 四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書に関連する項目(営業、投資及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物の四半期末残高又は期末残高)の記載は、「第一部 企業情報 第4 経理の状況」において四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書を記載した四半期(連結)会計期間に限る。
- 1株当たり純資産額及び従業員数は削除する。
- 四半期(連結)会計期間に係る1株当たり四半期純利益金額は記載する。
5. その他
- 第1又は第3四半期(連結)累計期間に係る四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書を記載する場合、「経理の状況」の冒頭にその旨を記載する。
- 四半期(連結)会計期間に係る四半期(連結)損益計算書(及び四半期連結包括利益計算書)を記載する場合、「経理の状況」の冒頭にその旨を記載する。
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