企業会計基準委員会より、改正企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」及び改正企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」等が公表されました。
2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」等を踏まえ、四半期報告の大幅な簡素化が図られています。
公表された改正会計基準等は、以下のとおりです。
- 改正企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」
- 改正企業会計基準第20号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」
- 改正企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」
- 改正企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」
- 改正企業会計基準適用指針第15号「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」
- 改正企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」
- 改正企業会計基準適用指針第19号「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」
- 改正企業会計基準適用指針第21号「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」
なお、本改正は2011年4月1日以後開始連結会計年度及び事業年度の第1四半期会計期間から適用されます。
(主な改正内容)
四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書
第1及び第3四半期においては、開示を省略することができる。この場合、年度内の首尾一貫性を確保する観点から、第1四半期より省略するものとする。前年度における対応する四半期において開示を行わず、当年度の四半期より開示を行う場合、前年度の対応する期間に係る開示は要しない。なお、公認会計士又は監査法人によるレビュー手続を経たうえで、任意に開示することを妨げるものではないと考えられる。
四半期(連結)損益及び包括利益計算書又は四半期(連結)損益計算書及び四半期(連結)包括利益計算書
開示対象期間は、期首からの累計期間及び前年度における対応する期間とする。
ただし、四半期会計期間及び前年度における対応する期間を含めることができる。この場合、年度内の首尾一貫性を確保する観点から、第1四半期より含めるものとする。前年度における対応する四半期において開示を行わず、当年度の四半期より開示を行う場合、前年度の対応する期間に係る開示は要しない。なお、公認会計士又は監査法人によるレビュー手続を経たうえで、任意に開示することを妨げるものではないと考えられる。
注記事項
1. 注記の簡素化
以下の事項については、注記を要しない。
- 表示方法を変更した場合、その内容
- 簡便的な会計処理を採用している場合、その旨及びその内容
- 1株当たり純資産額
- 四半期会計期間末日における発行済株式総数、自己株式数、新株予約権(自己新株予約権を含む)の目的となる株式数及び四半期会計期間末残高
- ストック・オプションを新たに付与した場合及び重要な事項に変更がある場合、その旨及びその内容
- 取得とされた重要な企業結合が当年度の期首に完了したと仮定したときの影響
2. 四半期(連結)キャッシュ・フローに関連する注記事項
第1及び第3四半期において四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書の開示を省略した場合、以下のとおりとする。
(注記の削除)
- 四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物の四半期末残高と、四半期(連結)貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係
(注記の追加)
- 期首からの累計期間に係る有形固定資産及びのれんを除く無形固定資産の減価償却費及びのれんの償却額(負ののれんの償却額を含む)
3. 四半期会計期間に関する注記事項
四半期会計期間に関する以下の注記事項について、四半期損益計算書において四半期会計期間の情報を開示している場合には、任意で開示することが考えられる。この場合、年度内の首尾一貫性を確保する観点から、第1四半期より行うべきものと考えられる。
- セグメント情報等
- 1株当たり四半期純損益
- 事業の性質上営業収益又は営業費用に著しい季節的変動がある場合、その状況
4. 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判断するために重要なその他の注記事項の例示等
以下のとおりとする。
(例示等の削除)
- 日本公認会計士協会 監査委員会報告第77号「追加情報の注記について」で記載されている事項
- 資産の控除項目として表示されていない減価償却累計額
- 企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」を適用したことによる四半期財務諸表への影響額に重要性がある場合の注記
- 担保提供資産の内容及び金額
- 開示対象特別目的会社が前年度末と比較して著しく増減したときにおける注記
- リースの借手又は貸手において、通常の賃貸借契約に係る方法に準じた会計処理を適用している場合に、当該リース取引に係る金額が前年度末と比較して著しく増減したときにおける注記
- 賃貸等不動産が前年度末と比較して著しく増減したときにおける注記
- 資産除去債務が前年度末と比較して著しく増減したときにおける注記
(例示等の見直し)
- 子会社の決算日に変更があり、かつ、四半期損益に重要な影響を及ぼす場合、変更があった旨及びその影響を注記する。
- 企業集団の事業運営にあたっての重要な項目であり、かつ、前年度末と比較して著しく変動している場合の金融商品、有価証券及びデリバティブ取引の時価情報について、銀行、保険会社、証券会社及びノンバンク等以外の会社にあっては、第1及び第3四半期では注記を省略することができる。この場合、年度内の首尾一貫性を確保する観点から、第1四半期より省略するものとする。
適用初年度の取扱い
適用初年度においては、「前年度の第2四半期会計期間以降に自発的に重要な会計方針について変更を行っており、かつ、遡及適用により当年度に比較情報として開示する前年度の四半期(連結)財務諸表と前年度に開示した四半期(連結)財務諸表に適用した会計方針との間に相違がみられる場合には、その旨」を注記すべきとする規定は適用しない。その代わりに、「前年度の連結財務諸表の作成にあたり自発的に重要な会計処理の原則及び手続について変更を行っており、かつ、前年度の四半期(連結)財務諸表と当年度の四半期(連結)財務諸表の作成にあたっての重要な会計処理の原則及び手続との間に相違がみられる場合には、その旨及び前年度の対応する四半期会計期間及び期首からの累計期間への影響額。なお、影響額を算定することが実務上困難な場合には、影響額の記載に代えて、その旨及びその理由」を注記すべきとする規定を適用する。
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