企業会計基準委員会より、改正企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」等が公表されました。
一定の要件を満たす特別目的会社を子会社に該当しないものとする推定規定の適用範囲が縮小されるとともに、開示の充実が図られています。
公表された改正会計基準等は、以下のとおりです。
- 改正企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」
- 改正企業会計基準適用指針第15号「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」
- 改正企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」
- 改正実務対応報告第20号「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」
なお、本改正は2013年4月1日以後開始連結会計年度の期首から適用されますが、上記のすべてを同時に適用する場合に限り、2011年4月1日以後開始連結会計年度の期首から適用することができます。
(主な改正内容)
一定の特別目的会社を子会社に該当しないものとする推定
適正な価額で譲り受けた資産から生じる収益をその出資者に享受させることを目的として設立された特別目的会社(以下、SPCという)について、当該SPCの事業がその目的に従って適切に遂行されているときには、従来、当該SPCに対する出資者及び当該SPCに資産を譲渡した企業の子会社には該当しないものと推定していたが、当該推定規定の適用対象から出資者を除外し、資産を譲渡した企業に限定する。
ノンリコース債務等の注記
連結の範囲に含めたSPCのノンリコース債務は、連結貸借対照表上、他の項目と区別して記載又は注記する。また、当該債務に対応する資産は、当該資産の科目及び金額を注記する。
なお、SPC以外の企業がノンリコース債務について同様の記載を行うことも妨げられないと考えられる。
適用初年度の取扱い
1. 子会社の評価
(1) 適正な帳簿価額による評価
改正基準の適用によって新たに連結の範囲に含められる子会社の資産、負債及び少数株主持分は、連結財務諸表上、過年度から当該基準を適用していたものとした場合に算定される金額により評価する。当該評価額(純額)と当該子会社に対する親会社の投資との差額は、期首利益剰余金に直接加減する。
(2) 時価による評価
上記(1)にかかわらず、改正基準の適用によって新たに連結の範囲に含められる子会社の資産及び負債のすべてを時価により評価することができる。当該評価額(純額)のうち、少数株主に帰属する部分は少数株主持分とし、親会社に帰属する部分と当該子会社に対する親会社の投資との差額は、期首利益剰余金に直接加減する。
(3) 評価方法の選択
適正な帳簿価額による評価又は時価による評価は、改正基準の適用によって新たに連結の範囲に含められる子会社に一律に適用する。ただし、いずれか一方の評価方法を一律に適用することが困難な子会社がある場合、他の子会社とは異なる評価方法を適用することができる。
2. 会計方針の変更
改正基準の適用は、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱う。なお、会計方針の変更による影響額の注記は、上記1の期首利益剰余金に対する影響額とする。
その他
商法上の匿名組合について、営業者及び匿名組合のいずれもが匿名組合員の子会社に該当する場合で、営業者の損益のほとんどすべてが匿名組合員に帰属するときは、匿名組合自体を連結の範囲に含めることが適当であることを明確化する。この場合、営業者固有の事業は通常重要性が乏しいと考えられるため、営業者を連結の範囲に含めないことができると考えられる。
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