金融庁より、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」が公布されました。これは企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」及び企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」等の公表を踏まえ、所要の改正が行われたものです。
改正された主な内閣府令は、以下のとおりです。
- 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 企業内容等の開示に関する内閣府令
- 「財務諸表等規則の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)
なお、本改正内閣府令は2010年9月30日から施行されますが、その適用には一部経過措置が設けられています。
(主な改正内容)
「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」への対応
1. 比較情報
当連結会計年度に係る連結財務諸表は、その一部を構成するものとして比較情報(当連結会計年度に係る連結財務諸表(連結附属明細表を除く)に記載された事項に対応する前連結会計年度に係る事項)を含めて作成しなければならない。また、当事業年度に係る財務諸表は、その一部を構成するものとして比較情報(当事業年度に係る財務諸表(附属明細表を除く)に記載された事項に対応する前事業年度に係る事項)を含めて作成しなければならない。
2. 会計方針の変更等を行った場合の注記
会計方針の変更等を行った場合、連結財務諸表及び財務諸表において、企業会計基準第24号で求めている注記と同様の内容を注記しなければならない。
3. その他
① ハイライト情報
有価証券報告書等の「主要な経営指標等の推移」においては、最近連結会計年度の前連結会計年度及び最近事業年度の前事業年度にのみ遡及適用等を行う。ただし、それ以前の連結会計年度及び事業年度において遡及適用を行うことも可能であり、その場合、その旨を注記しなければならない。
② 特別損益の表記
特別損益の例示項目から、前期損益修正損益を削除する。
③ 連結株主資本等変動計算書等の表記
(連結)株主資本等変動計算書及び(連結)附属明細表の「前期末残高」を、「当期首残高」に変更する。
「包括利益の表示に関する会計基準」への対応
1. 包括利益を表示する計算書
包括利益は、連結損益計算書とは別に連結包括利益計算書を作成する方式(2計算書方式)と、連結損益及び包括利益計算書を作成する方式(1計算書方式)のいずれかの方式によって表示する。これに伴い、連結包括利益計算書、並びに連結損益及び包括利益計算書の様式を新設する。
2. その他の包括利益に関する注記
その他の包括利益に係る税効果の金額は、その他の包括利益の項目ごとに注記しなければならない。また、当期純損益を構成する項目のうち、当連結会計年度以前にその他の包括利益に含まれていた金額は、組替調整額として、その他の包括利益の項目ごとに注記しなければならない。
3. 連結貸借対照表等の表記
連結貸借対照表及び連結株主資本等変動計算書の「評価・換算差額等」を、「その他の包括利益累計額」に変更する。
その他
1. 指定国際会計基準の任意適用
① 任意適用会社の範囲の拡大
一定の条件を満たす場合、特定会社の子会社も特定会社とみなされ、指定国際会計基準を任意適用することができる。
② 指定国際会計基準適用に関する注記
適用した指定国際会計基準が国際会計基準と同一の場合には、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成している旨を注記する。一方、指定国際会計基準が国際会計基準と異なる場合には、指定国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成している旨を注記する。
2. 「債権の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い」の廃止への対応
上記当面の取扱いが2010年3月31日をもって廃止されたことから、所要の修正を行う。
適用時期
1. 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」関連
2011年4月1日以後開始連結会計年度及び事業年度に係る連結財務諸表及び財務諸表から適用する。
2. 「包括利益の表示に関する会計基準」関連
2011年3月31日以後終了連結会計年度に係る連結財務諸表から適用する。ただし、2010年9月30日以後終了連結会計年度に係る連結財務諸表から早期適用することができる。
3. 指定国際会計基準任意適用関連
施行日(2010年9月30日)以後終了連結会計年度に係る連結財務諸表から適用する。
4. 「債権の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い」関連
2010年4月1日以後開始連結会計年度及び事業年度に係る連結財務諸表及び財務諸表から適用する。
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