企業会計基準委員会より、「企業会計基準第25号『包括利益の表示に関する会計基準』及び関連する他の改正会計基準の公表」が公表されました。会計基準の国際的なコンバージェンスの取組みの一環として、「包括利益の表示に関する会計基準」を新設するとともに、これに関連して企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」に所要の改正を行ったものです。
(主な内容)
包括利益
包括利益とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をいう。当該企業の純資産に対する持分所有者には、当該企業の株主のほか当該企業の発行する新株予約権の所有者が含まれ、連結財務諸表においては、当該企業の子会社の少数株主も含まれる。
その他の包括利益
その他の包括利益とは、包括利益のうち当期純利益及び少数株主損益に含まれない部分をいう。その他の包括利益は、個別財務諸表においては包括利益と当期純利益との間の差額であり、連結財務諸表においては包括利益と少数株主損益調整前当期純利益との間の差額である。連結財務諸表におけるその他の包括利益には、親会社株主に係る部分と少数株主に係る部分が含まれる。
その他の包括利益累計額
これまでの「評価・換算差額等」という用語は、「その他の包括利益累計額」に読み替える。
包括利益の計算の表示
個別財務諸表においては、当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を表示し、連結財務諸表においては、少数株主損益調整前当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を表示する。
包括利益を表示する計算書
2計算書方式(「損益計算書」及び「包括利益計算書」)又は1計算書方式(「損益及び包括利益計算書」)のいずれかによる。連結財務諸表においては、包括利益のうち親会社株主に係る金額及び少数株主に係る金額を付記する。
その他の包括利益の内訳の開示
1. その他の包括利益の内訳項目
その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定等に区分して表示する。持分法適用会社のその他の包括利益に対する投資会社の持分相当額は、一括して区分表示する。
内訳項目は税効果控除後の金額で表示する。ただし、控除前の金額で表示し、関連する税効果の金額を一括して加減する方法で記載することができる。
2. 税効果に係る注記
内訳項目を税効果控除後の金額又は控除前の金額のいずれで表示する場合であっても、各内訳項目の税効果の金額を注記する。ただし、個別財務諸表(連結財務諸表を作成する場合に限る)及び四半期財務諸表においては、省略することができる。
3. 組替調整額に係る注記
当期純利益を構成する項目のうち、当期又は過去の期間にその他の包括利益に含まれていた部分は、組替調整額として内訳項目ごとに注記する。当該注記は、税効果に係る注記と併せて記載することができる。ただし、個別財務諸表(連結財務諸表を作成する場合に限る)及び四半期財務諸表においては、省略することができる。
適用時期等
1. 適用範囲
(四半期)連結財務諸表に適用する。
(四半期)個別財務諸表の適用については、本会計基準の公表から1年後を目途に判断する。
2. 適用時期
税効果及び組替調整額に係る注記を除き、2011年3月31日以後終了連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用する(以下、原則適用という)。ただし、2010年9月30日以後終了連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用することができる(以下、早期適用という)。
税効果及び組替調整額に係る注記は、2012年3月31日以後終了連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用する。ただし、上記の適用時期に合わせて適用することができる。
3. 適用初年度
その直前の年度における包括利益(親会社株主に係る金額及び少数株主に係る金額の付記を含む)及びその他の包括利益の内訳項目の金額を注記する。ただし、税効果及び組替調整額に係る注記の記載は要しない。
4. 遡及適用
原則適用する場合、翌連結会計年度の四半期連結財務諸表においては、本会計基準を遡及適用し、財務諸表の組替えを行う。
早期適用する場合、翌連結会計年度の四半期連結財務諸表においては、前連結会計年度の対応する四半期会計期間及び期首からの累計期間について、包括利益(親会社株主に係る金額及び少数株主に係る金額の付記を含む)及びその他の包括利益の内訳項目の金額を注記する。
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