日本公認会計士協会より、「会計制度委員会報告第7号『連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針』、同第9号『持分法会計に関する実務指針』、同第4号『外貨建取引等の会計処理に関する実務指針』、同第14号『金融商品会計に関する実務指針』及び『金融商品会計に関するQ&A』の改正について」が公表されました。この改正は、主に、2008年12月26日に企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下、連結会計基準という)等が公表されたことに伴うものです。
なお、本改正は、連結会計基準等と同様の時期に適用されます。
(主な改正内容)
段階取得の会計処理
子会社の資本と相殺消去される親会社の子会社に対する投資額は支配獲得日の時価であり、段階取得の場合に支配獲得前から保有していた当該会社の株式にも支配獲得日の時価を付すこととなるため、支配獲得時の時価と支配獲得直前の当該株式の適正な帳簿価額(持分法適用会社の場合には持分法による投資評価額)との差額を段階取得に係る損益として処理する。
在外子会社(財務諸表が外国通貨表示)等ののれん及びのれん償却額の換算
在外子会社株式の取得等により生じた外国通貨で把握されたのれんは決算日の為替相場により換算し、のれんの償却額は当該在外子会社等の他の費用と同様に換算するため、為替換算調整勘定はのれんの期末残高とのれん償却額の両方の換算から発生することとなる。なお、負ののれんについては取得時又は発生時の為替相場で換算し、負ののれんが生じた事業年度の利益として処理するため、為替換算調整勘定は生じない。
のれん及び負ののれんが生じる場合
のれん又は負ののれん(純額)が発生する企業結合において、契約等により取得の対価が概ね独立し決定されており、かつ、内部管理上独立した業績報告が行われる単位が明確である場合は、当該業績報告が行われる単位ごとにそれを分解してのれん又は負ののれんを算定し、処理する。
負ののれんの会計処理
負ののれんが生じると見込まれる場合には、まず、すべての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかの見直しを行い、それでもなお負ののれんが生じる場合には、当該負ののれんは発生した事業年度の利益とする。
部分時価評価法の廃止
部分時価評価法が廃止され、全面時価評価法のみが認められることとなったことに伴い、部分時価評価法に関連する規定が削除等された。
なお、持分法適用関連会社には従来どおり原則として部分時価評価法が適用されるが、非連結子会社に持分法を適用する場合には全面時価評価法が適用される。
連結会計基準に定めのない事項の取扱い
連結貸借対照表の作成に関する会計処理における企業結合及び事業分離等に関する事項のうち、連結会計基準に定めのない事項については、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」及び企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」の定めに従って会計処理する。
たとえば、連結会計基準を適用する場合にも、条件付取得対価の会計処理、取得原価の配分における暫定的な会計処理、企業結合に係る特定勘定への取得原価の配分、所定の注記事項、共通支配下の取引等に係る注記事項、子会社の企業結合により当該会社が子会社に該当しなくなった場合の株主に係る注記事項に関する定めが適用される。
みなし取得日の取扱い
みなし取得日は、企業結合の主要条件が合意されて公表された日以降としなければならない。
ただし、連結会計基準が適用される企業結合は、現金を対価とした株式の取得により支配の獲得が行われることが想定されているので、株式交換などの企業結合のように一定の法的手続を踏まえて実施されるとは限らないことから、連結損益計算書に与える影響が乏しい場合には、主要条件が合意されて公表された日よりも前に支配を獲得したとみなした日を設定して処理することができる。
のれんの償却開始時期の明確化
のれんは、子会社又は事業報告が行われる単位(上記「のれん及び負ののれんが生じる場合」を参照)の実態に基づいて、その効果の発現する期間にわたって償却する必要があることから、のれんの償却開始時期は原則として支配獲得日からであり、通常、子会社の損益計算書が連結される期間と一致する。
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