企業会計基準委員会より、実務対応報告第25号「金融資産の時価の算定に関する実務上の取扱い」が公表されました。
最近の金融市場における混乱を背景にした国際的な会計基準設定主体による公表物との関係で、企業会計基準委員会に対して時価の算定に関する質問が寄せられていることから、その理解を促進するため、 質問の多い点を確認するために公表されたものです。
本報告は、現行の会計基準等を踏まえた実務上の取扱いを確認するものであるため、本報告の公表日前に終了した事業年度(当該事業年度を構成する四半期会計期間又は中間会計期間を含む。)であっても、 企業が未だ公表していない財務諸表においては適用されます。
また、その適用については会計方針の変更としては取り扱わないことに留意する必要があります。
なお、本報告の適用に関して、財務諸表利用者の理解に資すると考えられる場合には、その概要について注記することとなります。
(主な内容)
時価とは
時価は、取引を実行するために必要な知識をもつ自発的な独立第三者の当事者が取引を行うと想定した場合の取引価額であるため、 不利な条件で引き受けざるを得ない取引または他から強制された取引による価格は時価ではないことに留意する必要がある。
市場価格に基づく価額を必ず時価としなければならないのか
原則として、市場価格に基づく価額を時価とすることとなるが、取引所もしくは店頭において取引されているが実際の売買事例が極めて少ない金融資産や、売手と買手の希望する価格差が著しく大きい金融資産は、 市場価格がない(又は市場価格を時価とみなせない)と考えられるため、これらの場合の時価は、基本的に、経営陣の合理的な見積りに基づく合理的に算定された価額によることとなる。
経営者の合理的な見積りに基づいて時価を算定する場合の留意事項
自社における合理的な見積りが困難な場合には、対象金融資産について金融商品会計に関する実務指針第54項に定められた方法に基づき算定された価格をブローカーから入手して、 それを合理的に算定された価額とすることができる。ただし、この場合のブローカーは客観的に信頼性がある者で、企業から独立した第三者であることが必要であることに留意する。
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